[Review]Krv – Ograma/U Kamenom Grobu(ボスニア・ヘルツェゴビナ/ブラックメタル)

[Review]Krv – Ograma/U Kamenom Grobu(ボスニア・ヘルツェゴビナ/ブラックメタル)

ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボ出身のブラックメタル、KRVの3rdアルバム、2010年作品。本作のリリース後バンドは解散しています。バンド名の”Krv”はBloodの意味で、ボスニアやセルビアの英会話講師に確認したところ、発音はクルヴという感じでした。またMetal Archivesによるとアルバムタイトルの”Ograma”はボスニアの古語か何かでSpellの意味だそうです。

自分がゲットしたのはアルバム本編に加え、2004年のEP、U Kamenom Grobuがカップリングで収録されているお得盤。調べてるとEP単独でリリースされたものと比べて収録曲が違うみたいなのですが・・・細かいことはよく分かりませんでした。。

周辺情報的なもの

バンド結成は2003年で、2010年リリースの本作までにEPを2作、アルバムを2作リリースしています(・・・がほとんど未聴)。前述したU Kamenom Grobu EPの一部(?)が本作に収録されている、ということになります。

メンバーは、同じくボスニアのテクニカルメロデスSilent Kingdomと関わりが深く・・・というかほとんど兄弟バンドと言ってもいいのかも知れません。

というのは、情報が少なくてどっちが先でどっちが後か、みたいな事はいまひとつよく分からないのですが、このKrvのギター&ヴォーカルのBan Krvnik氏と、ドラムスのKurvar氏はSilent Kingdomの結成メンバーでもあり、そのSilent Kingdomの初期作品のいくつかには、Krvのほかのメンバーも在籍していた様なので。

また、ドラムスのKurvar氏は本ブログでもレビューした、ボスニアのブラックメタルOdarにもいますね。

[Review]Odar – Zavjet Dalekom Snu(ボスニア・ヘルツェゴビナ/ブラックメタル)

 

主にMetal Archivesの情報をもとに整理してみているのですが、誰がいつどのポジションにいたか追っかけていると、非常にややこしい。。。

マイナーなエリアなのであんまり掘り下げても仕方ないかもしれませんが、KrvとSilent Kingdomは非常に近い関係にある、という事を覚えておけばいいのかな。

ちなみに、Silent Kingdomはアルバムを1枚ゲットしていて、今のところ軽く聴いただけなのですが、このKrvとは全く趣の異なるメロデス(?)を演っているので、そのうちご紹介できれば、と思っています。

 

ー追記

↑で触れたSilent Kingdomの音源記事アップできました。KRV関連情報もあり合わせて読みたい、かもです。ご参考に

[Review]Silent Kingdom – Bloodless(ボスニア・ヘルツェゴビナ/メロディック・ブラック・デス)

Ograma

さて、本作の本編となるOgramaはいったいどのようなブラックメタルを聴かせてくれるのでしょうか。

全体的な感触を大まかに表現するなら、良くも悪くもやはり北欧方面系のトラディショナルなスタイルをなぞった、オールドスクール・ブラックということになると思います。

ややノイジーというか不鮮明な音質でかき鳴らされる、嵐の様なトレモロリフを中心に、ドラムスはファスト系で聴ける爆速タイプというよりは、カドが立った感じのブラストビートを叩いたり、ヴォーカルは中音ガナリ系で喚き散らします。

ブラックメタルではもはや当たり前のチープな音質によって、こうした要素がうまくまとめられている(まとまってしまった?)感じもしますね。そのおかげで、いい感じでコールド感というかブリザード感が現れたり、うっすらとしたメロディが妙に荒涼と聴こえたり。

その点も含めて、よく言えば非常に昔ながらのブラックメタルらしい、悪く言えば超ありがちな作風だと思います。

 

お気に入りの曲はイントロに続く2曲目。音質はやや地味めだとしても、メインのトレモロリフがアツいメロディーを奏でています。ギリギリ甘くならない加減が絶妙な気がします。

それから3連のリズムがペイガン魂を鼓舞する(?)4曲目も勇壮でクールです。途中はブラストパートも挟んだり、ミドルテンポのパートもあったり、聴きどころも多いですね。最後の、”うぁ、うぁ、うぁ、うあぁぁぁぁぁ”と金切り声寸前絶叫が素敵です。

6、7曲目あたりでは昔のMurdukを思わせるような爆走ぶりを発揮したりもしてて、ちょい聴きではあんまり印象に残らないけれど、やっぱり聴き込んでいくといろいろな発見があります。

U Kamenom Grobu

カップリング収録されている、U kamenom grobuも続けて聴いてみましょう。

基本的に本編であるOgramaアルバムとやってる事は変わらないので、なんとなく通しで聴いてると、どこからU kamenom grobuに入ったのか全く分らないという具合。

曲調も音質もほぼ似たような感じで、変わらずRawというかブリザードというかコールドというか、チープというか・・・

いやでも意識して聴くと、後からリリースされたOgramaアルバムのほうが、何かを狙ったり意図したりしてそうな音に聴こえるかも。そのぶんこのU kamenom grobuに比べるともう少しドラマティックな香りがします。

ドラムスの音はEPの方がちょっと大きめに配置されてるので、そのぶんバカスカぶりが心地よい気もしますが、その若干の音作りの違いで、やや単調っぽく聴こえるかも。

なんというか、単にプレイタイムのかさ増しだけでなく、こうして比較できるという点で、このカップリングはありがたいですね。なにせ他作品探すの結構大変そうなので。

ブラックメタル・フェティシズム?

・・・というボスニアからのブラックメタルの音、でしたが、個人的には結構好きな部類に入ります。見方によってはやっぱり特筆すべきところのない、ありがちなブラックメタルという事になりそうなのも事実かと思いますし、実際自分も例えば墓場まで持っていきたい1枚かというとそこまでのインパクトは無いのですが。。

それでも、こういうジャンルはたぶん、ちょっとしたフェティシズムみたいなところもあって、もうさんざん出尽くして聴きつくしても、こうして新たに聴いてみるとああやっぱり良いよねと思わずにいられない、そんな感じ?でしょうか。

そしてそれが、メタル界における(いい意味で)辺境の地ボスニア産だと思うと、ほら、なんだかくすぐるモノがありますでしょう???

誰にでもオススメできる必聴クオリティの作品かは分かりませんが、個人的には好みの良盤なので、このフェティシズム?に共感頂ける皆様には是非。