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[レビュー]Dozër – Noć Za Teške Priče (ボスニア・ヘルツェゴビナ/スラッシュメタル)

[レビュー]Dozër – Noć Za Teške Priče (ボスニア・ヘルツェゴビナ/スラッシュメタル)

ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボ出身のスラッシュメタル、Dozërの1stフルアルバム。2013年作品で、現時点での最新作になります。

周辺情報的なもの

これまた関連情報が限られているのですが・・・Metal Archivesによるとバンドの結成は2008年で、翌2009年にデモをリリースしています。

結成から本作までのメンバーは、Sommy氏(ギター)、Shex氏(ヴォーカル)、Zira氏(ドラムス)、Amir氏(ベース)の4人で、Zira氏を除く3人は同郷のスラッシュメタルEnemy Insideの現/元メンバーということのようです。

少し調べてると、関連バンドであるEnemy Insideですが、なんと(?)ボスニア(旧ユーゴスラヴィア)のレジェンド&カルトスラッシュのBombarderの1stアルバムでギターを弾いていたZlatko “Zlaya” Slatinac氏のバンド。

しかも(?)、Dozërの初期ベーシストであるAmir氏と交代っぽい形で、Sergio Slatinac氏なる人物がDozër入りしているのですが、彼はそのZlatko “Zlaya” Slatinac氏の息子なんだそうで・・・いやはや驚きました。Dozër入りするまでは、Enemy Insideでベーシストを勤めていたということですね。

また、Zlatko “Zlaya” Slatinac氏の兄弟である、Nelle SlatinacもEnemy Insideにいたりと、こ2バンドはほとんど親戚関係にあると理解しても良いのかもしれません。

それにしても・・・それだけ小さなメタルシーンという事なんでしょうか。

 

参考。Zlatko “Zlaya” Slatinacお父さんがギター弾いてたBombarderの1stのお話はこちら↓

[Review]Bombarder – Speed Kill(ボスニア・ヘルツェゴビナ/スラッシュ・スピードメタル)

クロスオーバー風スラッシュ

こうやって調べてみて、思わぬ発見のあった彼らDozërですが、音楽的には果たしてどんな感じなのでしょうか?

全体的な印象は、やはりバルカン産スラッシュらしい、カラっとしたノリを持つアツいスラッシュメタルということになりそうです。スローテンポの曲はほぼなくて、基本的に速い曲中心です。

たぶん別記事でも書いた表現になりますが、SodomやKreatorにありそうな、独特の湿り気というか、オカルティックな血みどろ感というのはこのDozërにはなくて、その分もっとクロスオーバー的というか、時折パンキッシュにも聴こえる雰囲気です。その点では結構ヘドバン向けというかダンサブルというか・・・。

そのへんは上の方で少し触れたBombarderや、セルビアのHorror Piknikあたりにも共通しているようにも思います。

どうしてなのかは今のところ不明ですが、バルカン産スラッシュは結構こういう雰囲気を持つバンドが多くて・・・国民気質みたいなものなのか、あるいはメタルをプレイする上での下地がこういうものばかりだったのか、気になるところもあります。

同じヨーロッパ産といえど地域によって結構雰囲気やノリが違ってる、という事なのかも知れません。

各曲

ボスニアの英会話講師に聞くところによると、I’m not crazyの意味になるらしい”Nisam lud”というタイトルの1曲目から、バリバリのスラッシュメタルで疾走。頭からロックンロール風というかパンキッシュ風な入りですが、ギターリフはきっちりクランチーで心地よいです。

ヴォーカルはデスヴォイスまでは行かないと思うのですが、ちょっと低めの、おっさん風ダミ声という感じでしょうか。曲のノリは割りと軽めなので、ヴォーカルはこれくらいの方がバランスが取れてて良いかも知れません。

2曲目はギターリフのキレキレなスタッカートがクールで印象的。スリリングなこの感触はBombaederのOkot iz paklaアルバムを思わせます、なんとなく。

[Review]Bombarder – Okot Iz Pakla(ボスニア・ヘルツェゴビナ/スラッシュ・スピードメタル)

 

3曲目はMetallicaがこんな曲やってたような、やってそうな気がするので、Metallica+oiパンク風な曲と呼んでみましょう。アルバム全体にいえますが、音質・分離ともにとてもクリアなので、ギターの刻みやドラムスのバシバシ決まる感じを聴いてるだけで胸が熱くなるようです。

5曲目もまたMetallicaの”Motorbreath”風というかMegadethの”FFF”風なリフを持つ1曲。後半のイギャアァァァの叫び声が気合入ってます。

 

このアルバム中最も驚いたのが8曲目。これまで基本爆走メインでスラッシュする流れで進んできた中、この曲はちょっと違った雰囲気を持っています。疾走しながらも歌心のあるリフが強烈に耳を引き・・・そして曲のラストに繰り出される単音ハモリリフ。そう、まさにそれはモロ、Iron Maiden!!

いやここまでスラッシュメタルの流れとテンションで聴いてて、ここで(良い意味で)Iron Maidenをぶち込まれるとは・・・ヤラれました。お見事です。

そしてラスト10曲目は10分の大曲、と思いきや、2つのパートが1トラックにまとまってるような構成。前半は変わらずスラッシュメタルなのですが、後半はなんだかゆるくてダルい形容不能なロック(?)ソングでエンディング。このオチの意味は自分にはちょっと想像できませんが、これもバルカンノリって事なんでしょうか。。

 

不遇の?良質Balkan Thrash

実はこのアルバムも予備知識一切無しで、バルカン産モノまとめ買いでテキトーに注文したうちの1枚だったのですが、全然知らないところでBombarderとのつながりがあるバンドだったりと、手に入れて正解でした。

もちろん音楽的にも、結構切れ味のあるスラッシュメタルという事で、バルカンスラッシュのクオリティを見せ付けてくれる気がします。

個人的には本作のようなクロスオーバー風なテイストよりも、もう少しevilなタッチの方が好みなのですが・・・そのあたりはクオリティとは別の、好みの問題だと言って良いでしょう。

 

例えばこの音楽で、メタル界あるいはスラッシュメタル界のけん引役になれる、と言うほどインパクトがあるわけでもないのでしょうが、もう少し光が当たりさえすれば、もっと認知されても不思議ではない気もします。

そしてそれはこのDozërに限ったことではなくて・・・どうもバルカンメタル全般が、クオリティに見合った注目を得られてない様に思えてならないのです。。

少しそれましたが、単純に非常にハイクオリティ&ハイテンションなバルカンスラッシュという事で、あんまり考えすぎずスラッシュサイコー!ってコトにしておけばいいのかも。

 

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