[Review]The Frost – … Of The Forest Unknown (クロアチア/ブラックメタル)

[Review]The Frost – … Of The Forest Unknown (クロアチア/ブラックメタル)

クロアチアの首都ザグレブ出身のブラックメタル、The Frostの1stフルアルバム。2010年作品で、このアルバムを最後にバンドは解散しています。CDジャケ内側には、Misanthropic Black Metalと書かれていますが、果たしてその音像はいかに。

周辺情報的なもの

このバンド・・・と表記しましたが、Metal Archivesによると、おそらく活動期間のほとんどは、中心人物であるGorgor氏の独りブラックであったものと思われます。例によって他の情報源を見つけられないのですが、唯一Myspaceでいくらかの写真が見られますね。

結成は2004年らしく、2005年の1stデモのリリース後、コンスタントにデモやスプリット、EPなどをリリースしてたようです。2008年スプリットでは、ノルウェーのMassemordとアメリカのValdurといった中堅?ベテラン?と組んでました。

そして残念ながら最後の作品となった本作”… Of The Forest Unknown” では、Gorgor氏(ギター&ヴォーカル)、D氏(ベース)、Stanislav Muškinja氏(ドラムス)の3人がクレジットされています。どうやらD氏とStanislav Muškinja氏はセッションメンバー扱いらしいのですが。。

『東欧ブラックメタルガイドブック2』でもこのアルバムについての解説があって、それで気付いたのですが、カバーアートは、Kris Verwimp氏で、氏は有名どころではMurdukやHorna、Masha “Scream”のArkona、など、数々のバンドを手がけているようです。今回のコレで初めて知りましたが、個人的にはDark Forestでのカバーが好きです。

→『東欧ブラックメタルガイドブック2』のお話はこちらもどうぞ←

スラッシー時々ミサンスロピー

そんな、いかにもカルトな(?)ブラックメタル感がプンプンのジャケの本作ですが、果たして中身はどういった音なのでしょうか。Misanthropic Black Metalと自ら表現するあたり、カルトで厭世感満載の音が待っているのでしょうか・・・

 

1曲目は、バトルドラムって程でもないんでしょうが、ドラムのみでドコドコ奏でられるイントロ。この曲が既に、後述の見せつけドラミングの布石になってるのかも知れません。

続いて幕を開ける本編、2曲目です。スラッシーなリフと縦ノリのリズムで進む曲で、普通に格好良いブラック・スラッシュチューン。ドラムスはこの時点で独自のノリを発揮してます。なんというか、ブラックメタルにしては珍しい(?)歌心あるリズミカルな炸裂ぶり。

Gorgor氏のヴォーカルは多分エフェクトも効かせた、中高音わめき系で、ちょっと遠くの方からギャーギャー言ってます。時折ウグエェェェ。。みたいな。

3曲目はちょっとテクニカル風で、運指の細かめなリフのある、スラッシーな感触の曲。アルバム全体のちょいくすんだ感じの音質に加えて、リフの雰囲気が、DarkthroneのTotal Deathアルバム収録の曲”Blasphemer”を思わせます。いや聴き比べると結構違うんですが、どことなく。

5曲目は出だしからどんより曇った寒々しいリフ+ブラストビートで始まる、荒涼とした曲。このバンドの言う、Misanthropic Black Metal的には、一番その感じが表現されてるんではないかと思います。中盤のテンポチェンジで3連かな?のリズムになって以降の跳ねる感じが最高にクール。なんともニヒリスティックなノリを聴いている様です。

 

・・・と、特に印象的な曲を取り上げましたが、全体的には、確かにミサンスロピー的な感じもそこはかとなくありながらも、どちらかと言うとスラッシーな縦ノリ感が強く出たブラックメタルに仕上がってると思います。

イケイケドラム・ブラック

本作を聴いて最も印象的なのは、やはりドラムスの目立ちっぷりになるでしょう。これはもはやリードドラムとでも言いたくなる様な、ノリノリの前のめりぶりで、手数も多くリズムチェンジ・変拍子・ブラストビートとなんでもござれなイケイケっぷり。もちろんブラックメタル的に、です。

その点ではイントロ曲なんかも、ドラムスのテクニックを見せ付けんがためにある、とさえ思えてくるくらい。技術的な優劣を語るほど詳しくはないですが、他にもモンスター急なドラマーは山ほどいるこのご時勢、これほど自己主張してみせるのはなかなかの図太さなのではないかと。

自分はこういうドラムスの音が目立ちすぎるくらいのバランス、大好きな人間なので大歓迎。

 

それに比べるとどうしても、ブラックメタルとしての楽曲は少々弱い気もしたり、似たようなパートが多かったりする気もするのですが、時折聴こえるメロウで寒々しいリフが光るようなところもあったり、悪くないと思います。

イケイケなドラムスと怪しい楽曲・リフのコンビネーションが良い意味でちょっと妙な反応を示してる、そんな不思議なところのもある作品。。また、オールドスクール風味というかブラック・スラッシュというか、な雰囲気もあるので、そっち方面からのアプローチもOKな1枚だと思います。

 

Kris Verwimp氏アートワーク関連↓

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