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[レビュー]Deadly Mosh – Hellsound (セルビア/スラッシュメタル)

[レビュー]Deadly Mosh – Hellsound (セルビア/スラッシュメタル)

セルビア中央部の都市クラグイェヴァツ(Kragujevac)出身のスラッシュメタルDeadly Moshの1stフルアルバム。2012年作品。もはやおなじみ(?)のMiner Recordingsから出ているセルビア盤。

これもセルビアで旅行の時に買ったものの1つで、値段は699ディナール。日本円で700円強くらい。新品でもこの値段で素晴しいのですが、コンディションは良くない。ケースはスリキズだらけ&ツメ折れはもはや仕様ですね。

同じスラッシュメタルで例を挙げると、一緒に買ったWar EngineのCDも同じような状態でした。

[Review]War Engine – Adrenaline Rush (セルビア/スラッシュメタル)

関連情報

バンドは2008年に、Nikola “Skullcrusher” Slavkovic氏(ベース)とJovan “Steelscreamer” Komnenic (ギター)によって結成されています。その後Milos ”Priestkiller” Stosic氏(ヴォーカル)、後にスラッシュメタルKugaで活躍するAndrija ”Devilchaser” Grozdanovic氏(ギター)、Bora ”Helldiver” Petrovic氏(ドラムス)をメンバーに加え、本格的な活動がスタート。

本作のレコーディング前までに、彼らはいくつかのEPとスプリットをリリースしていて、その中には、北マケドニアのスラッシュメタルWarnamentとの作品も含まれています。

Warnamentの作品は↓記事で紹介しています。

[Review]Warnament – …Where Home Is Found…(北マケドニア/スラッシュメタル)

そして本作のレコーディングの開始前に、ベーシストのSkullcrusher氏が脱退、すぐにAleksandar “RapidBastard” Milutinovic氏が加入し、約1年半に及ぶレコーディングプロセスの後、2012年に本作がリリースされました。

彼らはその後メンバーチェンジを行いながら、EPと2ndフルアルバムをリリースしていますね。そのうちゲットできるといいな。

古き良き香りのスラッシュ

さっそく1曲目から、良い意味でどこかで聴いた様な安心感の熱いスラッシュで突撃していきます。ハイトーン系のヴォーカルもテンションが高く、その辺がUSスラッシュ勢の熱さと、なんとなく80年代感を思い起こさせて、思わずニヤリ。

そんな調子で、全編スラッシュ全開な作風なのかと思いきや、2曲目では意外とメロディアスな歌メロのパートも取り入れたりしています。ギターソロが昔のMetallicaっぽい。

3曲目は”Bang Your Head!”の裏声シャウトが印象的なスラッシュソング。

続く4曲目ではハードコアな感じでガッツリ飛ばしていきます。中盤に切り込んでくるギターソロがやっぱりMetallica風。

そして6曲目、この曲が本作の中で唯一の、スローな曲調のメタルバラード。なんだかヘタウマな感じのシリアス歌唱と、珍しく(?)真面目っぽい歌詞が、これまでのスラッシーなノリとの間に驚きのギャップを生んでます。良くも悪くも。

ちょっとだけ異色のヘヴィさを感じる7曲目。主にリフによるものと思いますが、スラッシー感よりも、図太い骨太感をより感じる曲で、同時にそのあたりが、やっぱり現代のバンドなんだなと思わせます。

そしてまた古き良き時代に逆戻りしたようなノリを感じる8曲。曲名忘れましたが、やっぱりMetallicaがこんな曲やってませんでしたっけ。。。”Deastiny Coming~”の歌唱が、なんだかちょっと人を食ったような歌いまわしで、ヒネくれたスラッシュらしい。そしてエンディングのギターソロがまたまたMetallica。

そしてその後も、彼らDeadly Moshによる、80~90’sスラッシュ攻撃は続きます。

全11曲ですが、アルバム後半もテンションが下がることがなく、最後までスリリングでファストなスラッシュソングが続くので、通しで聴いてても、ダレる感じはほとんどありません。明らかにスローな曲というのは、上で触れたように6曲目だけ、ということで、余計なもの(?)をほぼ含まない、徹頭徹尾スラッシュメタルな構成のアルバムになってるんではないかと思います。

スラッシュ大国セルビアが生んだノスタルジー

カバーアートのイメージからすると、ジャーマンスラッシュの初期作品たちの様な、邪悪で湿り気のある音をイメージしそうですが、実際はKill ‘Em Allアルバムの頃のMetallicaや初期Exodusあたりを思わせる、比較的カラッとした響きのスラッシュメタルに近い気がします。

特に、ギターソロのフレーズなどは、結構な頻度でどこかで聴いたMetallica風。

音質はもはやノスタルジックな感じもする、80年代~90年代風のクリアすぎずタイトすぎず、といういかにもスラッシュメタルな音。よく聴くと、少しモダンな低音のヘヴィさも感じますが、基本はあの(?)スラッシュメタルの感じだと思います。

曲も音質もまさに、在りし日の・・・という感じで、2010年代にこの音楽と思うと目新しさも何もないのが実際のところでしょうか。

とはいえやはり、セルビアのスラッシュメタル勢って、その数の多さもさることながら、こういう事やらせたら本当にうまいと改めて感心してしまう出来栄えでもあります。良い意味で、どいつもこいつも見事なスラッシュっぷりだもの。。。

余談ですがこのアルバム、全体の録音音量が小さめで、当然通常より音量上げて聴くことになるのですが・・・そのせいで、違う音源に切り替えた時に超爆音になってびっくりします笑

最近そういうのにあんまり出会わないので、なおさら。そのあたりも、本作になんともいえないノスタルジーを感じる一因なのかもしれませんね。



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