[Review]War Engine – Adrenaline Rush (セルビア/スラッシュメタル)

[Review]War Engine – Adrenaline Rush (セルビア/スラッシュメタル)

セルビア北部の都市ノヴィ・サド(Novi Sad)出身のスラッシュメタル、War Engineの1stフルアルバム。2012年作品。セルビアのMiner Recordingsからのリリースで、セルビアモノといえばココ、って感じもしてきます。

これもベオグラードのCD店で購入したものの1枚なのですが、もはやお約束の、袋なしでケーススリキズだらけ&ツメ折れ。たぶんこれがセルビア盤の標準仕様です笑。一方値段は599ディナールで600円強で素晴らしい。

関連情報

公式Facebookページによると、バンドの結成は2009年。本作のリリースまでに、1本のデモと、EPを1つリリースしています。彼ら自身が掲げているスタイルはHardcore Thrash Metalということのようです。

本作 ”Adrenaline Rush”時のレコーディングメンバーは、Luka Franceško氏(ヴォーカル・ギター)、Dušan Mijolić氏(ギター)、Aleksandar Jakšić氏(ベース)、Stefan Stanić氏(ドラムス)という4人のラインナップ。

関連バンドも調べてみましたが、目立った関連人脈というのはなさそう。

収録曲のタイトルを見ると、”Chemical Warfare”(アレなのか???)や、”Time To Kill”、”Machete”(なた風の刃物)など、いかにも攻撃的なスラッシュメタルらしいものから、”Party Animals”、”Porn”といった俗っぽいものまでいろいろ。割と節操のない感じ、でしょうか。そのあたりがどうも、バルカンというかセルビアスラッシュ特有のノリな気もします。

一方、肝心の音の方は、そんな馬鹿っぽさは案外少なめの、真っ当なスラッシュメタルなので、続けて内容を聴いてみましょう。

Adrenaline Rush

まさにバンド名の通り、戦場のSEから幕を開ける1曲目。いきなりピリピリと緊張感漂わせながら刻むリフ回しがスリリング。冒頭のSEの中の叫び声は、「野郎共首の準備できてやがるかー!」って事で良いでしょう(実際違いますけど)

2曲目はスロー~ミドルテンポで入り、後半一気に加速。スラッシュメタルらしい一品。

3曲目の導入部分の展開は、Metallicaの曲にこんな感じのなかったっけ?というちょっと壮大な作り。ギターリフにはそこはかとなく歌心が漂ってます。

「イヤアアァァァ~!!!」の絶叫がとりわけ印象的な4曲目。ちょっと地味めながら不穏な響きを放つリフと、その叫び声のコントラストがナイスです。

5曲目は、右手の刻みっぷりがの鋭いリフ使いが個人的にお気に入り。緩急のつけ方も良くて、スリリングさを損ないません。最後に切り込むギターソロも知れ味鋭くて素敵。シュレッダーソング、ですね。

6曲目は単音リフと刻みの組み合わせが比較的最近のSlayer風?という事で冷たい鋼鉄感も満載。

静かなアルペジオで始まり展開していく8曲目もクール。これもちょっとSlayerみたいな空気感、でしょうか。そしてブラストビートも飛び出して驚かされます。漂う緊張感がヒリヒリするようです。

ラストの9曲目もスラッシー感満載。というか、全体を聴いてて、曲数やランニングタイムのために変なロックソングが入ってるとか、そういうお茶を濁すような部分がなく、きっちり全曲スラッシュメタルなのに好感が持てます。

強いてネガティブな点を挙げるとすれば、音質や演奏、曲構成含めてよくまとまってる分、やや地というかこじんまりとして聴こえてしまう事でしょうか。。。スラッシーさはバッチリなのに、あとちょっとだけぶちかまし感が足りないような・・・。

ひんやり熱いセルビアスラッシュの好盤

影響を受けたバンドとして、Violator, Municipal Waste, Fastkill, Razor, Dew Scented, Sodom, Slayer, Kreatorなどを挙げている彼らですが、確かに全体的に、上記のバンド達の影響を受けているんだろうな、という印象を受けます。

個人的には、KreatorやSodomの感じをベースに、ほんのりMunicipal Wasteのクロスオーバー(?)風味が香るイメージです。

リフの質感か音質のせいか、結構カッチリ硬質な肌触りもあったり、曲は意外と押し引きのメリハリがつけられていたりと、単なるハジケ系スラッシュ馬鹿共、というわけでもないのかな?同じセルビア出身スラッシュで比較するなら、Nadimačのほうがよっぽど(良くも悪くも)馬鹿っぽい。

本作からは直接的にはハードコアっぽさを感じませんでしたが、もしかするとこういう、ちょっと硬質で冷たく無機質に聴こえる感じというのが、彼らのいうハードコアっぽさなのかも、という気もします。

Nadimačについては↓で紹介しています。

[Review]Nadimač(Надимач) – Nejebanježivesile (セルビア/スラッシュメタル)

 

本ブログではいくつかバルカン出身のスラッシュメタルを紹介していますが、ちょっとした雰囲気の違いはあれど、どのバンドもやっぱりレベルが高く、大きなハズレがないのが見事。本作も例にもれず、バルカンスラッシュあるいはセルビアスラッシュとして軽く及第点を超えてきそうな1枚。

それから、彼らの公式Bandcampページでは、本作含め、作品をひと通り無料で聴くことが出来る!ので、ご興味があればみんなで聴きましょう。


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