[レビュー]Claymore – The First Dawn Of Sorrow (セルビア/メロディック・メタル)
- 2020.05.23
- セルビア
- Claymore, Claymorean, Review, Serbia, セルビア, メロディック・メタル
セルビアのLazarevac出身、女性Vo入りエピック/メロディックパワーメタル、Claymoreの1stフルアルバム。2003年作品。セルビアのOne RecordsからのリリースされたプロCD-R仕様で、偶然中古で発見しました。
関連情報
このClaymore、本ブログで以前にレビューしたClaymoreanとは同一バンドで、こちらは改名前の作品ということになります。この記事を書いている2020年時点で、彼らはフルアルバムを4作発表していますが、1st~2ndアルバムはこのClaymore名義、3rdアルバム以降はClaymorean名義になっています。
そして本作はClaymoreのバンド名で2003年にリリースされたデビュー作品という事になります。
Metal Archivesによるとバンドの結成は1994年。ギタリストのVlad Invictus氏ことVladimir Garčević氏によって始動しました。1stアルバムのリリースまでのメンバー編成はどうやら結構流動的だったらしいのですが、詳細は不明。
そして2002年のデモ音源の後、2003年には1stアルバムである本作”The First Dawn Of Sorrow”がリリースされました。
アルバムのブックレットによるとバンドの編成は、Andrijana ”Dea” Gajic女氏(ヴォーカル)、Goran Garčević氏(ベース・キーボード・ドラムス)、おそらくバンドのブレインと思しきVladimir “Vlad” Garčević氏(ギター・ヴォーカル)、Nikola “Nick” Djurdjević氏(ギター)という4人。
Goran氏とVladimir氏は、同じGarčević姓から分かるように、実の兄弟(だったはず。どこかで情報見た気がするのですがソース忘れました><)。そういえば兄弟といえば同じセルビアには、DraconicやДеспот(Despot)のBranković兄弟がいましたね。
「Claymorean」作品は↓記事で紹介していますのでご参考に。
ショボめネオクラ系クサメロパワ
全体的な作風は、中世ファンタジー風のカバーアートから想像されるとおりの、結構クサめのメロディックメタル。いかにも、な暑苦しさとクサみを放つヴォーカルとギターのメロディに、ファンタジックなキーボードの装飾と、どこを切り取っても、いわゆるクサメロ系のあの感じやイメージそのまま、と言っていいでしょう。
勇壮なイントロの1曲目か華麗に鳴り響いた後、これぞメロパワと言わんばかりのヒロイックなメロディーが放たれる2曲目。まるでシンガーが拳を握り締めて熱唱してるのが浮かびそう。・・・なのですが男性ヴォーカルパートを担う “Vlad” 氏の歌声はちょっと線が細いというかオーラが無いというか。なんかたぶん頑張ってるんだけど何かが足りない様な。。
そして3曲目はAndrijana ”Dea” Gajic女氏がリードヴォーカルを務めます。その”Dea”女氏の歌声も”Vlad” 氏同様、オーラの無い感じ(苦笑)。コレは録音のせいなんでしょうか、決して歌えてない訳ではないと思うんですが・・・ちょっと安定感が無い感じなのかな。
音質がチープというか薄っぺらで、打ち込み?ドラムスもやや迫力に欠けつつも、その一方でよく聴くとこの曲は初期Nightwishみたいな雰囲気がある気がします。特に1stアルバムあたりの頃のNightwishの音って、ちょっと薄めだったと思うのですが、そのあたりが重なる気がするのです。
5曲目は男女ヴォーカルのデュエットになるバラード調の曲なのですが、そこに男女の、というかデュエットの魔法があるかというと、うーん。。。
そして6曲目。ここでこれまでのやや冴えない雰囲気を吹き飛ばす、ネオクラシカル要素満載の疾走曲が登場。好きな皆様にとっては、この曲のイントロパートのギターメロディにはニヤリとさせられることでしょう。再び”Vlad” 氏のヴォーカルがちょっと物足りない感じを覚えつつも、クサみ抜群のメロディが乱舞する様子に、そのヴォーカルと音質問題はもはや気にならなくなってきそう、かも。
7曲目はなんだかジメジメねっとりした歌メロが薄気味悪いスローな曲。ある意味ドゥーミーとも言えそうな雰囲気は、もしかすると後の作品で聴ける、エピック・ドゥームな作風へと受け継がれる原点なのかも。
9分に及ぶ大作である(割にあまり印象に残らない)8曲目に続き、ラスト9曲目はドドメのメロスピが炸裂。スリリングなギターリフにヒロイックなクサメロディー、ジャン・ジャンとダイナミックに畳み掛ける曲展開。それから火を噴くギター&キーボードソロ。結構頑張ってます。
芳しいマイナー臭
全体的に男女ヴォーカル共にやや線が細く説得力がイマイチだったり、音質がチープだったりと、そのへんも含めて、良くも悪くも見事にB・C級メロディックメタルらしい感じ。特にアルバムのラストを飾る9曲目は曲自体はイイ線言ってそうなだけに惜しい。。
そういった安っぽさは逆にある意味マイナー臭モノとしては見事?なのかも知れませんが。
メロディックメタルというと個人的には、なんというか突き抜けた完成度を感じる瞬間があれば、ファンタジーアートとして心から賛辞と拍手を送りたくなる一方、そうでなければどうもただのイモみたいなメタルにしか聴こえないことも多々あって・・・
その点で言えば本作はどちらかというと後者。メロディックメタル(笑)、みたいな。とはいえ基本的にはファンタジーモノって嫌いじゃないので、なんだかんだで、カッコワラしながら聴いてしまうんですけれども。。。メタルに関してはたぶん、「ダサイは正義」って言葉もありそうですし、ねぇ。
そしてこのClaymoreに関して言えば、後にClaymoreanに改名してからの化けっぷりが凄いので、そのバンドの在りし日の姿を聴くことが出来るだけで良いのかも。ホントその化けっぷりといったら・・・特に4thアルバムにはド肝を抜かれましたです、ハイ。↓にリンク貼っておきますのでよければご参考に。
という事で、正統派メロパワのど真ん中を往く、予想と期待を裏切らない作品でしょう。音楽性とクオリティ、どちらをとってもカバーアートから香る雰囲気そのままな品。
[レビュー]Claymorean – Sounds From Dying World(セルビア/フィーメイル・エピック・パワーメタル)
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