[レビュー]Claymorean – Unbroken(セルビア/フィーメイル・エピック・パワーメタル)
”Raise the banners high and ride into groly”!!!!!… Lyrics from a song titled Helderhammer.
セルビアのLazarevac出身、女性Voエピック/メロディックパワーメタル。
2014年の通算3作目のアルバム。CD中ジャケでは、「Female Fronted Epic Sympho/Power」と表記していますね。
関連情報とか
2003年の1st ”The First Dawn of Sorrow” と2013年の2nd “Lament of Victory“ではClaymoreと名乗っていたようですが、本作からはClaymoreanに改名されています。
クレジットにはリードVoとして男性も入っていて、実際通して聴いてみると、男女混成ヴォーカルのエピックメタルといった印象です。
楽曲のテーマはバンド名から連想される通りのコテコテのLoR風ファンタジーで、ともするとクサくてダサいだけの内容になりかねないカテゴリですが、彼らは見事にやり遂げているんじゃないかと思います。ちゃんと”こういうもの”として完成させてるというか・・・。
聴きながらクレジット眺めてて気づいたのは、あれ?ドラマーがいない?ってこと。
打ち込みとも書いてない気がしますが・・・続くアルバムの時のインタビュー記事か何かで、ドラムプログラミングがどうのという記述があったはずなので、たぶん打ち込みなんでしょう。ただ音聴いててもまったく分かりませんでした。音も機械っぽくないし、非常に人間くさいパターンに聴こえるんですね。これはちょっと凄くないですか??
自分は初めてです、違和感感じなかったの。
”Heldenhammer“神。
で、・・・先に書いておくと、このアルバム、1曲目の”Heldenhammer“があまりにも(個人的に)神懸かり的で、その印象ばっかりな文章になりそうです汗
勇壮に鳴り響くホーンの音色が、戦いの神話の幕開けを告げ、乙女の無垢な歌声が戦士達への祝福と、神々への祈りを紡いでいきます。
”Myrmidia,beautiful goddess of war”… Lyrics from a song titled Helderhammer
ミルミディア、美しき戦いの女神よ、どうか我らを邪悪な影の支配からお救い下さい。。。
”His time will come,Sigmar the glorious one“… Lyrics from a song titled Helderhammer
戦場の鎚たるシグマー、貴方の栄光と名誉の下、この命をもって共に参ります。。。
といった感じでしょうか??なんかセンスないな自分(苦笑
淡々としたDejana女氏の歌声や、スローミドルテンポでじっくりと重厚に聴かせる感じが、どことなくフィンランドの同じくエピックメタルのBattleloreを思わせます。
正直なところ、初聴きの瞬間は、やや一本調子なVoで、まぁまぁB級クサいところがパワーメタルの味わいの1つかなと思ってたんですが・・・
なんというか文章で表現するのが難しいのですが、(おそらく)メインとなるメロディーが、少しだけラインを変えてイントロとヴォーカルパート両方で使われていて、それが曲の最後のパートで役割を入れ替えて再び登場する、という
この仕掛けが(個人的に、また)衝撃的で、それに気づいたとたん一気に印象がひっくり返り、神曲に確定。
B級?いやいやまったく違う。これは魂を震わせるほどの戦いの賛歌そのもの。
ここまで1曲目の”Heldenhammer“。。。
神の去りし後に。
1曲目が神々しすぎて、2曲目以降は普通のクオリティーに聴こえてしまうのが良いやら悪いやら。総じて高品質のエピック・パワーメタルに聴こえますが、シンフォ系というよりはもう少し男くさい感じのエピックメタルという雰囲気です。
シンセの類はあまり使われておらず、クワイアがちょっとシンフォニック感を醸し出している感じでしょうか。楽曲を引っ張っていくのはあくまでバンドサウンドで、男性リードシンガーMiodrag氏のハイトーンVoが印象的なスピードチューンである6曲目”Aeons of Revelations”も、キラピロメロパワというよりは、ジャーマン系のパワーメタルの香りがします。
とはいえそれほどこのテのジャンルに詳しいわけではないのですが。。。
他に印象的だったのはアコースティックギターのイントロに導かれるフォーク(ロア?)な7曲目”Dreamer on a Path of Light”。いくつか探して読んだレビューの中には、「Campfire song」なんて書かれてて、なるほどなぁと。
それまで1曲目では朗々と、他ではときおり噛み付くような歌唱を聴かせるDejana女氏ですが、ここではちょっとしっとりと語りかけるような繊細な柔らかさも見せています。
覚醒への序章
セルビア出身ならではの雰囲気や、他にはない個性みたいなものがあるかといえば、決してそうではないのですが、完成度の高い安定盤ということで、間違いないと思います。個人的には、1”神”曲目のために買ってもいいんぢゃないかと。
ぜひライブでも見てみたいバンドのひとつです。残念ながらライブバンドとしてはあまり機能してないらしいのですが、そのへんの事情は次作関連のインタビュー記事で発見したので、レビューとあわせて書けたらと思ってます。
キャッチーなメロディ、エピック感あふれる曲構成、多彩かつストロングなサウンド&リフ、MyrmidiaとSigmarを体現するような男女ツインVoが見事に融合した作品といっても良いでしょう、きっと。
そして次作”Sounds from Dying World”ではついにDejana女史のヴォーカルが覚醒、まさにヴァルキリーさながらの超強力歌唱を身に着けて、その威力をいかんなく発揮したパワーメタルが炸裂することとなります。
セルビア補正?いや、あるに決まってますけど・・・なくてもきっと大丈夫。
彼らの作品は↓記事でも紹介しています。ご参考に。
[レビュー]Claymorean – Eulogy for the Gods (セルビア/フイーメイル・エピックメタル)
[レビュー]Claymorean – Sounds From Dying World(セルビア/フィーメイル・エピック・パワーメタル)
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