[Review]Zimorog – Hate Kills, Use It Well (クロアチア/ブラックメタル)

[Review]Zimorog – Hate Kills, Use It Well (クロアチア/ブラックメタル)

 

クロアチアのリエカ(Rijeka)出身の独りブラックメタルZimorogの1stフルアルバム。2014年作品。自分がゲットしたのはセルビアのGrim Reaper Recordsから再発リリースされたプロCD-R盤。限定50枚の手書きナンバリング入りで、自分のは36番でした。

これもDiscogsでセルビアのセラーから大量購入したもののうちの1枚です。

届いたものを見ると、写真のとおりビニールのスリーブケース入りで、中には見開きのブックレット(?)とCDが挟まれてます。こういう形態は初めてお目にかかります。

 

Discogsで大量注文したお話は↓をよければご参考にどうぞ。

[海外通販記]初挑戦のDiscogsでセルビアのセラーに大量注文・編[第3弾]

関連情報

独りブラックということで、このZimorogの仕掛け人はSablastなる人物。Metal Archivesによると、Sablast氏は同郷のブラックメタルProkletでベースを担当していたようなのですが(未聴)、2015年に解散。現在はKrematoriumというスラッシュメタルや、League of Frostというブラックメタルにも関わっているそうです(こちらも未聴)。

また、Sablast氏はYouTuberとしての顔も持っているようで、自身のチャンネルでブラックメタル関連の(ネタ)動画をいろいろとアップしています。あんまり詳しくチェックはしていませんが、例えば、「俺はDissectionのJon Nödtveidtの生まれ変わりだ!」と主張する人物を、「俺は良いヤツだからな」とか言いながらイジる動画は、なかなかシュール。

↓Zimorog公式youtubeより

 

・・・と凶悪なイメージのブラックメタラーらしからぬ様子も伝えてくれるSablast氏ですが、音楽的には結構多作で、ディスコグラフィーをみると、フルアルバムが本作を含め5作、他にもスプリット盤やデモを数多くリリースしています。特に2014年には本作を含めて3作品もフルアルバムを発表してて凄い。

あまり関係ありませんが自分もその創造性を見習いたいもんです。

荒涼としたアトモス系

さて本作”Hate Kills, Use It Well”ですが、ここで聴けるのは初期BURZUMあたりのスタイルをベースに、コールドな自然崇拝系に派生していったようなイメージのアトモスフェリックっぽいブラックメタル。

独りブラックメタルという事で、音質はDIY感満載で、あの頃のBURZUMに通じるチープながら独特の味のある(?)雰囲気です。明確にクレジットされてませんが、ドラムスは打ち込みっぽい気がしますね。

 

ほわほわしたイントロの1曲目に続き、本編の幕開けを飾る2曲目は冒頭からなかなか寒々しく、ちょっと寂しげなトレモロリフが繰り返され、耳を引きます。Sablast氏のヴォーカルは感情を押し殺したようなうめき声で、ちょっとオカルティックに響きます。まさにブラックメタルらしい荒涼感で、ドラムスのスタスタと疾走するリズムと相まって、一気にモノトーンの世界が広がっていきます。

3曲目のイントロのアルペジオはBURZUMの曲で聴いたような・・・と思ってるうち、曲は一気に勇壮で、ちょっとペイガン風なノリを持つギターリフに切り替わり進行。ミドルテンポで勇ましい感じが格好良いのですが、部分的にドラムスとギターのリズムがヨレヨレにズレてて苦笑。

そのあたりのアヤシさについては、実はブックレット内に釈明文(?)らしきものが載ってて、なんでも、

”自身のショボい機材とレコーディングスキルに感謝する。なぜならそれらはこのアルバムをRawにしているから。俺は自身のリフとアイデアの支持者・賛成者であるから、ミスがあったとは思わない。”

ということだそう。ほとんど開き直りの様にも聴こえますが、良い意味でブラックメタルならではという気もします。

 

脱線しましたが、4曲目は淡いメロディー感を漂わせながら、寒いトレモロリフが吹き荒れる疾走曲。そのメロディー感はやはり邪悪とかサタニックとかそういう方向性ではなく、冷たく荒涼としたアトモスフィアを放つもの。このあたりが自然派っぽい雰囲気が香るゆえん、でしょうか。

続く5曲目はちょっとイケイケ風?なノリのイントロリフが特徴的。その後はかきむしる様なトレモロリフ主体で、疾走パートではバカスカと、ミドルパートではドスドスと緩急をつけながら進行。途中で切り込んでくる、”ゥキャアアァァァァ!!”みたいな叫びが予想外でちょっとびっくりします。

6曲目は12分に及ぶ長尺曲。なのですが曲そのものは地味めで、モノトーンのギターリフがシンバルのリズムをバックに、12分間ずっとジャンジャン言ってるだけ。不思議とそれほど退屈には感じませんが、やっぱりやや地味かも知れません。ある意味バンドのアトモスフェリックな面を象徴する1曲とも言えそうです。

この曲がかなり物静かだっただけに、ラスト7曲目の冒頭に響く単音トレモロリフがかなり効果的に印象に残ります。ブラックメタルど真ん中なそのリフを中心に、ドラムスは疾走し、ヴォーカルは怨念めいたうめき声を投げかける。。作品のラストを飾るになかなか見事なドラマ性を感じます。そして曲後半ではちょっと民族調?風なリフに切り替わって幕を閉じます。

物思いのお供に

こうして聴くと、個人的には第1印象以上に、作品内で起伏が設けられていたりして、単にアトモスフェリック感の強いブラックメタルというだけではない事に気付きます。もっと単調な作品だと思ってましたが、案外いろんな展開が待ち受けてます。

例えばどのバンドに近いの?と問われるとちょうど良い例を思い出せないのですが、一言でまとめるとやはり、よくいる独りブラックメタル勢の音楽そのままな印象な気もします。

上の方で触れたBURZUMの初期作品との比較で言えば、憂鬱さを少なめにして、そのぶん自然崇拝風なタッチを加えたという感じになるでしょうか。自然崇拝といっても、フォーク的な要素はなく、あくまでギターリフとそれに伴うアトモスフェリック感がそう感じさせる、という事なのですが。。

 

かなり限られた枚数のレア盤ではありますが、例えば血眼になって探さなければならないほどカルトなのかと言われると・・・。独りブラックとしては充分普通以上の内容ですが、似たようなバンドはたぶん星の数ほどいそうなので、前述したシュールなブラックメタルYouTuberがやってる独りブラックとして覚えておくくらいで良いのかも。

個人的には割りと好きな部類で、ぼーっと考え事したい時とか、荒涼とした雰囲気に浸ってぐったり(笑)してたい時には結構ハマりました。アトモスフェリック系の素晴しい効能です。

バルカン地域では割りと珍しい、結構な多作バンドなので、続く作品群もぜひチェックしてみたいこのZimorogです。

 

<参考>同じクロアチアのリエカ出身バンドたち↓

[Review]Ashes You Leave – Songs Of The Lost(クロアチア/フィーメイルゴシック・ドゥーム)

[Review]Black Cult – Cathedral of the Black Cult (クロアチア/ブラックメタル)

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