[お知らせ]本ブログ発!ネットラジオ番組 ”WWHYH Radio Show” がはじまりました![Undergrand Radio]

[レビュー]Black Cult – Nekropola(クロアチア/ブラックメタル)

[レビュー]Black Cult – Nekropola(クロアチア/ブラックメタル)

 

クロアチア出身のブラックメタル超手練れ、Black Cultの3rdフルアルバム。2020年作品。ウクライナのGrimmDistributionと、バンドのブレインと思しきInsanus氏の運営するInsArt Recordsとの共同リリース。500枚限定らしい。

前作”Cathedral of the Black Cult”が風堂々たる存在感と、スウェディッシュ系の格好良さを極めまくった至高の作品だったので、続く本作にかなりの期待を寄せていたのですが・・・実はリリースされていたのにずっと気付かなかったという恥ずかしい「今さら」(?)レビューになります。。。

関連情報

バンドの結成は2013年。結成当時から現在まで、バンドの中心的な役割を担うInsanus氏Morbid氏の2人によって始動しました。

Insanus氏はほとんどクロアチアのHellhammerあるいはFrost、みたいな恐るべき人物で、このBlack Cultの他にも、同郷クロアチアのブラックメタルCastrum、メロデスGorthaur’s Wrath、ボスニアのブラックメタルZvijerなどなど数多くのバンドに携わってきました。

それからMorbid氏は同じくGorthaur’s Wrathのフロントマンとしての活動が代表的な人物で、2人ともクロアチアのメタルシーンの重要人物といえそうです。

これまで2014年に1stフル”Neo-Satanism”を、2016年に2ndフル”Cathedral of the Black Cult”をリリースしています。この頃のバンドのラインナップはほとんど中心人物である上記2人による2人ブラックみたいな様子で、ゲスト/セッションメンバーが参加していた模様。

ですが音の方はかなりハイレベルで、特に2ndアルバム”Cathedral of the Black Cult”では、恐るべき威厳に満ちたスウェディッシュスタイルのブラックメタルを提示してみせました。

[レビュー]Black Cult – Neo-Satanism(クロアチア/ブラックメタル)

[レビュー]Black Cult – Cathedral of the Black Cult (クロアチア/ブラックメタル)

2018年の終わりにはInsanus氏は英国に居を移して、3rdアルバムとなる本作”Nekropola”の制作を開始。2019年にレコーディングを完了し、翌2020年にInsanus氏自身が立ち上げたInsArt Recordsよりリリースとなりました。

本作の編成は、ブックレットによると、Insanus氏(ドラムス、ギター)、Morbid氏(ヴォーカル)、Lesovik氏(ベース)の3人。それからライブではAzaghal氏がギターを担当、とクレジットされてます。Lesovik氏Azaghal氏は共にGorthaur’s Wrathつながり、という感じでしょうか。

フレンチ勢の色使いを盛り込んだ?

さて、前作では恐るべき格好良さの90sスウェディッシュ系ブラックメタルをぶちかまして筆者のド肝を抜いた彼らBlack Cultでしたが・・・

本作では雰囲気がかなり変わって驚きました。言うなればそのスウェディッシュ方面から、暗黒ビターなフレンチ系になってる様な。炎燃えさかる押せ押せオラオラな攻撃性から、内なる神秘性と狂気を描き出すディープな暗黒面に宗旨替えしたような。

音作りにしても、前作のその燃え広がるようなワイドな響きが素敵でしたが、本作では冷たくタイトなモノトーン感が暗黒アートの色使い。

 

アルバム冒頭1曲目は、気だるげで重苦しいギターリフを引きずり迫った後、突如堰を切ったようにブラスト全開。後半の鬼気迫る疾走と怒涛の畳み掛けが非常にスリリング。Black Cultによる新たな暗黒メタルの幕開けを飾って見せます。

ギターリフの端々に、なんだか冷笑的な感触がまとわりつく2曲目。ここでは攻撃性やスピード感よりも、曲から滲む嫌味ったらしいニヒリスティックな感触が印象的。これまでの彼らのスウェディッシュブラック路線とはずいぶん違ったイメージに少々驚きます。

そして同様にダイレクトさよりはミステリアスさが支配的な3曲目。なのですが要所では激速ブラストも飛び出して、Insanus氏のハイパーなドラミングをきっちりと魅せつけてきてます。

5曲目は荒涼感たっぷりのトレモロリフが冷たく、Morbid氏のヴォーカルが怨念めいて響く一品。ほんのり病的な音の反響感は・・・これがネクロな音響という事になるのでしょうか。薄っぺらく不穏ながらも、どこか魂を引っ張るような陶酔感です。後ろで動きまわるベースラインも、脳に刺さってそんな恍惚をより深いものに。。。

6曲目はHibernumのカヴァー。という事で調べてみると、同郷クロアチアのブラックメタルで、しかもInsanus氏とAzaghal氏によるバンドという事で、ほとんどセルフカヴァーという感じですね。曲の方は、プリミティブ感も放つブラック・スラッシュ風で、作中ではもっともストレートな感触の一品かも知れません。曲後半は案外メロディックな瞬間も配置されてます。前作までの現代版スウェディッシュブラック路線にも近そうですね。

 

冒頭から壮絶なブラストビートに乗せてブラックメタルの嵐が吹き荒れる7曲目。寒くて悲壮なギターリフが荒れ狂い、そして苦悶の絶叫を滲ませるヴォーカルが、救いのない終焉と崩壊の一幕を描きます。

そして破壊の後に、灰色の荒涼と狂気の残り香が漂うのがラスト8曲目。基本スローめに淡々と重苦しいトレモロリフが鳴り響いて終末を表現してますが、時おり突風が瓦礫の砂ぼこりを巻き上げるようにブラストビートを挟んだり。

この7~8曲目でのエンディングに向けての緩急というか、流れがとっても秀逸でドキドキします、個人的に。

深淵へと足を踏み入れる作

前作までの、90sスウェディッシュスタイルを現代に蘇らせてた作風から一転、ここでは00年代以降に登場してきたフレンチ勢の様な深淵の深みを連想させる雰囲気の作品となった本作”Nekropola”

一聴したところでは、そのやや押し殺した様な雰囲気と分かりやすいアグレッシブさの減少に、地味になった印象も受けそうなのですが・・・

それと引き換えに、それこそフレンチ勢の様なジワジワ精神に侵食してくるかのような深みが作品を覆います。

うっすらとではありますが、メロディ感にはそれとなくスウェディッシュ風味も残されていて、ビターな暗黒の色合いの中に、滲み出るアツさを感じる瞬間も。

なんだか前作までの路線が好きな人と、本作のほの暗さがハマる人とに分かれそうな作品ですが、基本的にはクオリティの高いブラックメタルであることには変わりないでしょう。

とりわけ仕掛け人であるInsanus氏の長きに渡るキャリアの賜といえる安定感の1枚。


Black Cult – Nekropola
 

↓参考にしたインタビュー記事

http://metaljacketmagazine.com/interview-black-cult/

Translate »