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[レビュー]Samrt – Mizantrop Mazohist (セルビア/ブラックメタル)

[レビュー]Samrt – Mizantrop Mazohist (セルビア/ブラックメタル)

セルビア北西部、クロアチアと国境を接する街アパティン(Apatin)出身のブラックメタル、Samrtの1stフルアルバム。2012年作品。

セルビアのベオグラードでゲットした本作は、現地のレーベルであるMiner Recordings盤。一緒に買った他のセルビア盤CDと同じように、これも700円強くらいでした。北マケドニアのDarzamadicus Recordsというところからリリースされた盤もあるようです。

関連情報

バンド名であるSamrtは英語だとdeathbedとかdyingの意味になるようです。死の床とか、死んでいく様子を表す語、というニュアンスでしょうか。

もはやいつもの通り(?)Metal Archivesくらいしか情報源が見当たらないのですが、少しバンドについて見てみましょう。

バンド結成は2006年で、2007年の1stデモ時のラインナップは、後にブラックメタルEndarkenを始動するNekrst氏(ギター・ヴォーカル)と、Nemanja氏(ベース・ドラムス)の2人。この編成は、2009年のスプリット盤でも同様でした。

1stアルバムである本作”Mizantrop Mazohist”時の編成は、Nekrst氏と、The StoneやMay ResultなどのDemontas氏(ベース・ギター)、セッションドラマーのZoltan Šimon氏の3人。また、前述のデモとスプリット盤で演奏していたNemanja氏が本作でミキシングとマスタリングを手がけていて、レコーディングも彼の所有するStudio Navで行われています。

・・・と、これくらいしかバンド関連の情報が見当たらないのですが、EndarkenのNekrst氏と、セルビアブラックメタルの重鎮The Stoneをはじめとしたキャリアを持つDemontras氏のタッグということで、それだけで注目に値するバンド、な気がします。

 

Demontras氏参加のThe Stoneの作品は↓など

[Review]The Stone – Магла(The Fog)(セルビア/ブラックメタル)

東欧風モノクローム、時々メロウ

小細工なしでズドンと、ザクザク刻むリフから入るタイトルトラックが1曲目。このリフは単純にカッコイイ。そしてすぐにトレモロリフに切り替わり、ハイピッチかすれ系の絶叫ヴォーカルが叫びます。と思いきやスラッシーなリフとリズムで疾走したりと、いきなり結構めまぐるしい展開。

曲中盤に入るあたりで、アルペジオっぽい単音リフに乗せてブラストビートを決める様子は、ちょっとImmortal風?の寒々しさ。そして後半ではまた雰囲気が少し変わり、メロウながら魂の熱さを感じるメロディが登場。

乱暴にいえば以降もだいたいこんな感じ、なのですが、それではあんまりなのでもうしばらくSamrtの音楽に身を委ねてみましょう。

デスメタル寄りの刻みリフの重量感で幕を開ける2曲目。そこから一転して、ざらっとしたトレモロリフに乗せて展開していくと、どことなく昔のノルウェー勢が醸し出してそうな荒涼感が漂います。全体的に、緩急つけたブリザード系の曲、でしょうか。ただ冷たさはそんなに感じず、色合いはやっぱり東欧風のモノクローム感(?)。

続く3曲目は冒頭から、トレモロブリザードで疾走。中盤のスラッシーなリフはThe Stoneっぽくて、関連性を強く連想させるのですが、気のせいなのか先入観のせいなのか。。

4曲目は2分弱の小品。おそらくインタールード的な位置づけなのでしょうが、(たぶん)ここは抜かりなく、ちょっと枯れたペイガン風なメロディーが、スタスタと走るリズムと相まって、木枯らしのように吹き抜けます。言葉にならない悲鳴のような絶叫は、森にこだまする怨念のよう。

そして5曲目はスピード感を押さえて、メロウなリフと展開で、ジワジワと心を締め上げてくるような一品。

歌詞をセルビアの詩人Vladislav Petković Disの作品から取ったという6曲目。これは本作の中でも印象的なもののひとつと言えそうです。高速パートで繰り出されるリフの感じが、Dark Funeralというと微妙に違うのですが、でもちょっと近い気もする邪悪でいて高貴な響き。後半切り込んでくるギターソロがよりエモーショナルさを引き立てます。

ラスト7曲目、冒頭のトレモロリフが素晴しくノルウェー風(当社比)。スローダウンして続くパートも同じく。中盤まではいろいろリフを展開させながら、やはり荒涼とした音世界を描いていきます。そして曲最後の疾走は、メランコリックなトレモロリフとブラストビートに乗せてフェードアウト。冷たい風に吹かれて消えていき、エンディングを迎えます。終焉にふさわしく、メランコリックさはこの曲が1番かも。

地味めながら安定のセルビア・ブラック

これまで見たとおり、総じて全体的な作風は、モノトーンな風合いのトレモロリフを中心に据えて、ときおり吹雪く様に疾走したり、うっすらメロウなメロディをキメてくる、というもの。特に目新しい要素はなく、誤解を恐れずに言えば割とオーソドックスなスタイルのブラックメタル、という事になりそうです。出来は悪くありませんが、ちょっと地味に聴こえるかも知れません。

ほとんどの曲が6分~8分台の長さを持ってるのが、特徴といえば特徴でしょうか。その分1曲の中にいくつかの展開があって、その点ではThe Stoneの作風を思わせたりもします。

この記事まとめるのに結構聴きこんだのですが(モノによってはちょい聴きで書けてしまうものもある)、正直なところ、心震わせるような瞬間というのはそんなになくて・・・。もちろん耳を引く素敵なパートはいくつもあるのですが、衝撃度はそれほど、という。

出来は決して悪くないのですが、やっぱり少し地味に聴こえしまう、というのが実際のところなのかも知れません。

とはいえ、あの(?)EndarkenとThe Stone関連作品ということで、たぶん安定感は保証されたようなもの。セルビアのブラックメタルにおいては結構重要な1枚になるでしょう。

それに、The Stoneも地味っちゃ地味ですし、ねぇ。いやでも自分はチョー好きですが。

 

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