[レビュー]The Hell – Welcome to​.​.​. (セルビア/デスメタル)

[レビュー]The Hell – Welcome to​.​.​. (セルビア/デスメタル)

 

セルビアの首都ベオグラード出身のデスメタル、The Hellの1stフルアルバム。2015年作品。ロシアのSatanath Recordsからのリリースで、500枚限定らしい。Discogsでセルビアのセラーからお取り寄せの品。カバーアートのタコ足のデーモン??がちょっと謎です。

関連情報

またなんとも検索に不便なバンド名&アルバムタイトルな彼らですが・・・情報収集しようとするとほとんどVenomの1stアルバム、”Welcome to Hell”が引っかかってしまいます><

ということで今回もまたMetal Archives頼りになりそうですが。。。

バンドの結成は2013年のようで、結成当初のメンバーは、当時Awaiting Fearで活動していた(現在は解散)Satan氏(ヴォーカル・ベース)、Igor氏(ギター)、Marko Mrčarica氏(ドラムス)の3人と、Rain DelayのŽeljko Zec氏(ギター)という4人と思われます。

そのAwaiting Fearは同じくセルビアのベオグラード出身のデスメタルなのですが、2014年に解散していて、こちらのThe Hellは2013年に結成されていることを考えると、このThe HellはAwaiting Fearの後継バンドという風に考えることが出来るかも知れません。・・・ですがAwaiting Fearは未聴。。

そして後にSatan氏が脱退し、ヴォーカル担当としてTamerlan氏が、ベース担当としてMilan Šuput氏が加入している模様。ベースのMilan Šuput氏はシンフォメロブラDraconicの、”Conflux” アルバムでもベースを担当していますね。

そして2015年に本作、”Welcome to​.​.​.”がリリース。メンバーはIgor氏(ギター)、Marko Mrčarica氏(ドラムス)、Željko Zec氏(ギター)、Tamerlan氏(ヴォーカル)、Milan Šuput氏(ベース)の5人。

さらに本作には3人のゲストヴォーカルを迎えていて、その顔ぶれを見ると・・・なんと現Nadimač(Надимач)で元Daggerspawnの“Dača”氏ことDanilo “Dača” Trbojević氏や、ブラックメタルのTriumfallやGorgoroth(!!)でヴォーカルを務めるAtterigner氏、スラッシュメタルのAzazel(やブックレットによるとSoul In CageやWar Ensemble)のヴォーカルĐorđe Pavlović氏。なんとも豪華すぎる。

 

ちなみに本作のメンバーのうち、ドラムスのMarko Mrčarica氏を除く4人は、2014年にゴシック/ドゥームのThe Father of Serpentsを結成して、2017年にフルアルバムをリリースしています(・・が未聴)。なかなか入り組んだ人脈でフォローが大変。

 

ゲストヴォーカルの“Dača”氏の壊れ系スラッシュNadimač(Надимач)は↓記事でも紹介しています

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クリアな切れ味のデスラッシュ

さて、本作を聴いての全体的な印象は、クリアな音作りが切れ味抜群の、突撃系デスメタルといった感じでしょうか。分離のはっきりした音質によるのでしょうが、ドロドロ感はほとんど無く、どちらかというとデスラッシュ方面の硬質な質感です。

基本的にはスラッシーなギターリフとブラストビートを含めたファストなリズムでキメてくる爆撃系(?)といった趣ですが、要所でスローで雰囲気のあるパートも配置されてます。そういうところはなんだか業火が燃え盛るような風景。。

 

印象的な曲をピックアップしてみると・・

3曲目は現Nadimač(Надимач)で元Daggerspawnの”Dača”氏がヴォーカルでゲスト参加してる曲。ここではNadimačで聴けるスットン狂ヴォーカル(褒めてます)ではなく、グロウルとわめきを使い分ける完全なデスヴォイスが炸裂してます。Daggarspawnの方は今のところ聴けていないのですが、同一人物とは思えないギャップに驚きます。

曲自体も見事な格好良さで、オープニングで聴けるフラットなメロディーのトレモロリフはなんだか殺ル気満々。そのままブラストビートになだれ込んでいくあたりがゾクゾクする切れ味です。個人的になんとなくポーランドのVaderみたいな香りのイメージ。必殺です。

3連のブラストビートとリズムが勇壮でクールな4曲目。図太くドスドスと進んでいく様がとっても男らしいというか・・・どことなくリフの雰囲気の一部にBehemothっぽさも漂ってます。そのへんは同じ東欧圏産って事で通じるものがあるのかもしれません。

6曲目はトレモロのメロディーや、中盤のスローパートのジワジワ感とか、そういう展開美?みたいな演出がちょっとブラック/デス寄りな一品。・・・と思いながら聴いてると、ここでヴォーカルを取っているのはゲストのTriumfall&GorgorothのAtterigner氏でした。なるほどそういう人選、って事でしょうか。

続く7曲目もゲストシンガーが参戦してる曲で、ここではAzazel、Soul In CageやWar EnsembleのĐorđe Pavlović氏のヴォーカルです。・・・が今のところSoul In Cageを一瞬聴いたくらいなので、ヴォーカルに関してはなんともいえない>< メインヴォーカルのTamerlan氏と同じく中低音グロウル方面のスタイルなので、正直あんまり違いを感じないというか・・・。これは自分の聴き込みが足りない面もあるでしょう。

10曲目はスラッシーリフとリズムで畳み掛ける前半部分がスリリングで耳を引きます。それから中盤と極のラストでは、ちょっとメロデスみたいなメロウさをアクセント程度に入れくるあたりが印象的。小技が効いててナイスです。

ラスト11曲目は程よいノリの2ビートと、ザクザクとしたギターリフの刻みが心地よい一品。そしてその心地よさに酔ってると、突然飛び出すうにょうにょ系リフで目を回しそうに。。ここまで聴いてて基本、予想通りのデスラッシュ感だったりする中で、時々こういうヒネリが入ったりするので、最後まで案外侮れないというか気を抜けないというか。

高品質なれど不感?

さて、聴いてて普通に格好良くて攻撃性も充分、音質含めた品質も充分で、しかも豪華ゲストも参加してるというナイスな本作ですが・・・総評みたいに捉えると、どうもコレ!といったインパクトに欠ける印象なのが正直なところで。。。

個人的には一番のお気に入りがVader風な(と勝手に呼んでる)3曲目。これは素晴しいの一言で、その他の曲たちも決して悪くないのだけれど、やっぱり何か決め手に欠けてる様な。なんというか、普通に格好良いのだけれど、どうも心を打つ瞬間が少ない、みたいな贅沢なお話。

それでも内容からすると、もしかして自分が不感症にでもなってる?と自分を疑いたくなりそうな品質感は充分感じられるし、デスラッシュ方面が好物の方はきっと気に入りそう。

彼らの関連情報を調べてると、本記事書いてる時点で、彼らの別バンドとも言えるThe Father of Serpentsの新作が製作中みたいなので、そっちでまた心を揺さぶってくれることを期待しましょう。という事でいいのかな。

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