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[レビュー]Númenor – Sword and Sorcery (セルビア/メロディック・エピックメタル)

[レビュー]Númenor – Sword and Sorcery (セルビア/メロディック・エピックメタル)

セルビアの首都ベオグラード出身のメロディック・エピック・トールキンメタル、Númenorの2ndフルアルバム。2015年作品で、ゲットしたのは翌2016年にロシアのStygian Crypt Productionsからリリースされた再発盤。ボーナストラックが5曲追加された仕様です。

関連情報

バンドの歴史はけっこう古く、2005年に結成された前身バンドEsgaroth時代にさかのぼります。

このEsgaroth名義では2枚のEP(デモ?プロモ?)をリリースしていて、インタビュー記事では「結成当初の事はあんまり覚えてない」としつつも、精力的にライブを行っていた模様。

2009年に現在のNúmenorにバンド名が変わり、以降2ndフルアルバムである本作”Sword and Sorcery”までに、EP3作、フルアルバム1枚、その他シングルをいくつか発表していますね。

Esgaroth時代から現在まで、バンドのブレインとしてその活動をけん引しているのが、Despot Marko Miranović氏。氏はセルビアのメタル情報サイト、Metal Sound Magazineも運営しているようです。

それからこのバンドのキーとなるもう1人の人物が、2010年より加入の、本ブログではおそらくもはやおなじみBranković兄弟Srđan “Sirius” Branković氏。セルビアメタル界の黎明期からシーンの勃興を担っている超重要人物で、そのキャリアはメロデスのphychoparadox、セルビア産メロディックメタル筆頭のAlogiaなどなど、数えきれないほど。

 

・・・と書くと、まさにセルビア産メタルの必聴バンドの1つに思えてくる彼らNúmenor。2015年にリリースされたのが本作”Sword and Sorcery”です。

本作の編成は、前述したバンドの仕掛人Despot Marko Miranović氏(ヴォーカル)、Srđan “Sirius” Branković氏(ギター、ベース、レコーディング全般)、Bálint Kemény氏(キーボード)の3人が中心。

加えてゲストにAlogiaやExpedition DeltaのMladen Gošić氏(キーボード。)、Anđela Isić女史(フィーメイルヴォーカル)らが参加。Anđela女史は同じくExpedition Deltaでヴォーカルを務めていて、2人はSrđan氏つながりと言ってもよさそうな気もしますね。

トールキン、あるいは剣と魔法とドラゴンと

コテコテ&シケシケのファンタジーRPG風のイントロ1曲目。このあたりで本作の作風がうかがい知れるような予感も漂いますが・・・

そして本編の幕開けの2曲目。メロディーや構成はもうほとんど初期Rhapsodyのコピーというか忠実なフォロワーというか・・・な趣。なのですが、そのあんまり殺気を感じないデスヴォイスと、どうも平坦なクリーンヴォーカルが本家のB級フォローみたいなイメージで、初聴きの時は正直ズッコケたのは否定しません。乱舞するネオクラ風ギターと絵に描いたようなヒロイックな歌メロはまさにど真ん中のクサメロスピで拍手喝采、なのですがどうも残念感が拭えない感じ。

・・・といきなり出鼻をくじかれたような幕開けから一転、個人的に恐ろしく刺さったのが、続く3曲目。ほんのり不穏なシンセの音色と裏打ちドラムスの疾走感、それに続くパワーメタルらしいマッチョなギターリフのうねりが素敵です。やっぱりデスヴォイスの迫力の無さが残念な気もしますが、それ以上に曲のドラマティックさが印象的。うっすら邪悪なマジカルさがお見事。

ピアノのインストの4曲目を挟んで、再びRhapsodyだかBlind Guardianだか味のパワーメタルが5曲目。もう既視感ならぬ既聴感(?)たっぷりな感触の一品ですが、逆に言えば基本に超忠実ともいえるでしょう。安心の剣とドラゴンのファンタジーワールドで、お約束の展開の絵本あるいは児童書を眺めるような微笑ましさ、かな。

6曲目はキーボードの音色がぽろぽろと甘めのミステリアスさを放ち、ミドルテンポ中心に勇壮なメロディーが響き渡ります。たぶんこのあたりから、聴きはじめのズッコケ感にも慣れて、普通にこういうB級フォロワーまっしぐらなクサメタルも、それほど違和感なく聴こえくるのではないかという気もします。そんな頃合い。

そうすると、続く7曲目でのヒロイックなギターリフとパワフルなドラムスのリズムが、あら不思議、格好良いメロディックメタルに聴こえてきます。はじめは頼りなげ?に聴こえてたDespot Marko Miranović氏のヴォーカルも、実に様になってるように高らかに、その歌声を届けてるように聴こえます。劣化コピー?いやこれはもしかすると、忠実な様式美。。。

その後も、ファンタジックなトールキンメタルは続き、本編ラスト10曲目は6分台の大曲(当社比)。どちらかというとジワジワ迫るような雰囲気と色合いの曲ですが、中盤ではドラマティックなギターソロのスポットを当てるパートも配置していて、どこかダークな余韻を残して迎えるエンディングを描いてる様に感じられます。

 

以降5曲はボーナストラック。調べてみると2006年と2009年の音源が収められているようですが、とすると、おそらく前身バンドであるEsgaroth時代からの曲でもあると思われます。

その11曲目はとりわけ曲ラストの、ワルツのリズムでブラストビートに載せてキーボードが乱舞する瞬間が超素敵で超甘美。

13、14曲目は2006年の音源つまりEsgaroth時代の音源と推測されますが、この頃はもっとデス/ブラックメタル寄りのリフの質感。本作の本編はほとんどメロパワベースですが、こちらは例えば自分の知ってるところでStormlordあたりのシンフォブラックのバランス感覚に近い作風です。

ラスト15曲目も冒頭はだいぶデスメタル的で、そこからエピックに展開してく構成。個人的にはこのあたりのボートラの作風の方がだいぶ好きです。。。

セルビアの様式美継承

確か彼らNúmenorの作品を初めて聴いたのは本作が初だったのですが、そのあまりのイモっぽい劣化Rhapsodyぶりに、失笑というか苦笑というか・・・したのを覚えてます。いまではこのレビュー書くのに聴きなれてしまって、案外普通に聴いていますが。。。

基本的にはそのRhapsodyスタイルそのまんまで、加えてブラックメタル風のデスヴォイスが乗ってる、B、C級臭たっぷりのメロディック・エピックメタルという事になるでしょう。

そういう○○のフォロワーみたいな音、ってのがセルビア産らしい気もしますが、一方でセルビア産バンドの中ではコンスタントにリリースを続けているバンドでもあるので、今後の彼らの音楽の進化&深化には期待してみたいところでもあります。

セルビアのメタルバンドとして長いキャリアを持つバンドであり、セルビアのメタル界の超重要人物でありシーンの牽引役の1人でもあるSrđan “Sirius” Branković氏が関わるバンドでもある、という点で個人的にはマストなバンドと呼びたい彼らNúmenorによる、正邪織り交ざったエピックファンタジー作品。

クサメタル方面好きな皆様ぜひどうぞ。

Srđan “Sirius” Branković氏の本家バンドAlogia

[レビュー]Alogia – Priče o vremenu (セルビア/メロディックメタル)

参考にしたインタビュー記事↓

http://www.metalsoundscapes.com/archives/11826/numenor-interview

Númenor Interview

https://blackphoenixrisingmetal.blogspot.com/2021/03/interview-w-marko-despot-miranovic-of.html

Interview: Numenor

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