［レビュー］Horror Piknik – Speed Metal Je Ziv（セルビア/スラッシュメタル）

amanon様

Horror Piknik / Speed Metal Je Ziv

セルビア北部の都市Novi Sad出身、Horror Piknikのおそらく現時点で唯一の作品。タイトルは英語にすると、”Speed Metal Is Alive”。2012年の6曲入りＥＰで、以前にレビューしたClaymoreanと同じStormspellからのリリース盤。ＣＤ内ジャケには、Cult Old-School Speed/Thrash Metalと表記されてます。

Claymoreanの時も思ったのですが、このStormspell盤、ブックレットの紙の質感とか、プラケースの硬質感とか、作りがとても丁寧に感じられます。メタル愛にあふれてる、って事なんでしょうか？？

バンドについての細かな資料は見つけられず・・・なのですが、Metal ArchivesによるとベーシストCorpse Hangman氏はPero DefformeroのフロントマンであるBiske氏と同一人物みたいです。それからレコーディングはセンター（？）のZombie Cutthroat氏が全部演ってるようですね。

本作はセルビアの”メタル”英会話講師のオススメということもあってゲットしました。

その講師が一緒に上記のPero Defformeroについても触れてましたが、そっちはなんでもパロディー臭満載のメタルなんだそうで・・・ちょっとYoutube観たりしてましたが、確かにそんな感じ。バルカン半島では「ターボフォーク」なるポップ音楽が人気らしいのですが、そのメタル版いうかなんというか。。

で、そのPero Defformeroでのパロディ感や、Horror Piknikのメンバー名（Zombie Cutthroatって、ねぇ。。）の胡散臭さなんかが、本気なのかギャグなのかちょっと判別不能な、そんな香りを放っています。また、後述するつもりのＰＶ観てても、ギャグなのか？いやでもマジな気もする・・・・いややっぱりネタだわ、なんて視聴者をぽかんとさせる魅力満載。

さて、前置きが長くなりましたが、実際の音はというと、これがまたどこを取ってもやたら格好良いスラッシュメタルなのに恐れ入ってしまいます。個人的にはここ数年はブラックメタル中心に聴いてて、スラッシュ方面はご無沙汰だったのですが、久しぶりにこのテの高揚感をエンジョイしました。いやアツいっす。

どうやらセルビアをはじめボスニアやクロアチアなどのバルカンスラッシュ勢は数も多く、かなりレベルも高いみたいで、彼らも例にもれず、キレッキレのスラッシュメタルで、6曲全部捨て曲なし。音だけ聴けば、ギャグ感なんてほぼなしの、これぞスラッシュと言わんばかりの作品になってます。

録音も非常にタイトかつクリアで、スラッシュメタルならではのクランチーなリフのザクザクとした刻みがとても快感。どの曲も基本バシバシ飛ばしていく曲なので、頭振ってたら首ちぎれそうな感じでもあります。

現地語のＶｏは叫び声というかダミ声形というか・・・で、歌メロっぽくは聴こえないので、その点はSlayerあたりが近いでしょうか。

曲構成？は、Old-Schoolと表現されてるとおり、たぶんどちらかというと昔ながらのスラッシュメタルということになると思います。80年代後半から90年代初頭くらいまでの、”あの頃”のやつですね。

最近の（？）クロスオーバースラッシュって自分はあんまり聴いていないのでそのあたりの比較はできないのですが。。

ヨーロッパ産スラッシュというか、例えばSodomとかKreatorの初期作品みたいなウエットな邪悪さみたいなものはそれほど感じられず、どちらかというともっとカラっとした、誤解を恐れずに言えばどこか能天気っぽくもあるノリを感じます。これは他のバルカン出身スラッシュにもいえるかもしれません。

あとは・・・、問題の？ＰＶですが、観れば観るほどコイツらやっぱりギャグなのかしら？と思わずにいられない、変な方向にクオリティの高い仕上がりで、音楽の格好良さにシビれつつもとまどってしまいます。。

衣装は80年代スラッシュのコスプレ風で、なんだか髪の毛の質感がヅラみたいで、小太りのおっさん（？）３人が頭振りながら演奏したり、ブラックメタル風の白塗りで血糊を吐いたりする様は・・・ああやっぱりネタなのかギャグなのかそれとも？？？

とはいえ要所でキレッキレのギターソロを披露してみせるあたり、きっと実力は一級品。一方でどうもどこか胡散臭いネタ臭・・・ギャップ萌えってこういう事？？

ともかくやっぱりメチャメチャ格好良いスラッシュメタルです。スラッシャーの皆様にはぜひチェックをオススメしたくなる作品。ライブで観れたら超楽しそう。

願わくばフルアルバムもいつかリリースされることを期待したいものです。