[Review]Black Cult – Neo-Satanism(クロアチア/ブラックメタル)

[Review]Black Cult – Neo-Satanism(クロアチア/ブラックメタル)

クロアチアのリエカ(Rijeka)出身のブラックメタル、”いかにも”なその名をBlack Cult。2014年の1stアルバム。これまたろくに予備知識もないままゲットしたという品なので、あれこれ情報交えながら味わってみたいと思います。

バンド公式HPにインタビュー記事があったので、それらも参考にしつつ。3つあるインタビューのうち1本はクロアチア語だったので・・・現地語の知識があればもっといいんですが。

周辺情報的なもの

公式ページのバイオグラフィーによると、2013年にドラマーのInsanus氏とヴォーカルのMorbid氏の2人で結成とあります。

Insanus氏は本ブログでも紹介した同郷のフィーメイル・ゴシックAshes You Leaveなど、多くのバンドに関わっている人物のようですね。またMorbid氏はGorthaur’s Wrathでもヴォーカルをとっています・・・がこちらは未聴。今のところクロアチアのメタル事情ほとんど分ってません><

他にも、ベースのLesnik氏はフォーク・ブラックのSlavogorjeの元メンバーだったりと、やっぱりこのあたりの人物相関も奥が深そうです。

本作のブックレットには、メンバーは5人とクレジットされていますが、レコーディングは結成メンバーのInsanus氏とMorbid氏の2人。Morbid氏がヴォーカルと歌詞、Insanus氏が全ての楽器を担当してますね。楽曲については後述したいと思いますが・・・このレベルでソングライティングから楽器から全てやってのけるInsanus氏はなかなかのツワモノに違いない。

 

アルバムタイトルにNeo-Satanismと銘打つあたり、キャラなのかどうかはよく分りませんが、彼らははっきりとサタニックというか反宗教というか・・・な発言をしています。

彼らの言うNeo-Satanismとは、音楽と精神の中に宿る(?)初期ブラックメタルの魂を取り戻す手段、という事だそうです。

自分たち自身が好きな音楽を生み出し、自分たち自身の真のありようを表現し、可能な全ての方法でキリスト教と他の宗教と戦うというのが、彼らのスタート地点であり、それらはずっと彼らをつき動かし続けているものでもある、と。

また、サタニズムは彼らにとっては彼ら自身の哲学みたいなものなんだそうで、個々人が自身のためによって立つものであり、自身にとっての真実を見つけ出し、自身の行く道を探すものなんだそう。

彼らの言葉を追ってみると、どちらかというと、究極の個人主義としてのサタニズム、というニュアンスになるんでしょうか。

 

まさに90’S(?)

不穏なギターリフでBlack Cult絵巻の幕開けを告げる1曲目。結構リフや曲構成は多彩で、でもしっかりと90’s風のトーンでまとめられているという印象。ダークかつちょっとヒロイックなメロディーが聴こえるあたり、やはり当時のスウェディッシュ勢を思わせる雰囲気が濃いと思います。

スウェディッシュ・・・というのは全体を通して共通した印象といっていいかもしれません。

2曲目は本作中のお気に入りの曲の1つで、頭からトレモロリフに乗って爆速ブラストビート全開という、あえて例えるならDark FuneralとかMurdukばりの攻撃力を感じる一品。個人的には同じバルカン産という事で、セルビアのBaneと凄く重なります。また、ブラスト一本調子ではなく、中盤にはスローダウンしてオーケストレーションを絡めるという技も見せていて、これがなんとも東欧っぽい感じ(?)。

3曲目は一見(一聴?)ジワジワ系の地味な感触の曲かと思いきや、スタスタと疾走するパートはかなり冷たい感じで、薄めのメロディーも荒涼感を引き立てます。4曲目のブラスト爆走パートはそのままDark Funeralかな。

本作でのもうひとつのお気に入りが、7曲目。いくつかの展開を交えながら曲が進んでいくのですが、それに導かれて登場するキメのヒロイックなリフが非常にカッコイイ。本作で最も印象的な瞬間かもしれません。聴きようによってはクサさと紙一重でもありますが。。

本編ラストの11曲目はなんだかうっすらとグリムな香りのするノルウェー産っぽい曲で、地味めだけと荒廃した雰囲気が素敵です。荒涼とモノクロ風に、淡々と迎えるエンディングにため息って良いですね、個人的に。

そしてシメはBURZUMのFilosofemアルバムからJesus Todのカバー。選曲の理由は、いわゆるブラックメタル・レジェンド達の中で、ライブではもう演奏されることのない、あるいはプレイされたことのない曲をやろう、ということのようです。・・・が可もなく不可もなく、という感じ?

 

アルバム全体を通じて、曲ひとつひとつの出来は決して悪くなく、パート毎に胸をアツくする展開が数多くちりばめられていて、音楽的に彼らのもくろみは十分達成されてるのかな、という出来栄えに思えます。

ただちょっと、そういった素敵なパートの間に、(個人的に)あまり引っかからないパートも挟まれていて、それがちょっと残念というか。なんというか、良いけど普通。みたいな??

 

”90’s black metal with modern production”

彼らは自身の音楽を、”90’s black metal with modern production”と評していて、オールドクスールブラックを現代水準のサウンドで表現することを狙っているようです。

また、自ら90年代初頭のブラックメタルに影響を受けたとしつつも、一方で彼らは自身のサウンドをその頃のブラックメタルにありがちないわゆる”necro sound”にはしたくない、とも語っています。なんでも、今日においてはそういうプアな音は意味を成さない、んだそうで。

彼らの発言によると、90年代当時のあういう音は単に、他に技術や選択肢がなかったからというだけで、そういったサウンドにノスタルジーを感じる人たちがいるとしても、今となってはそういうのはもはや効果的でもマジカルでもない、という見解みたいです。

 

実際あれこれ聴いてみて、確かに本作で聴けるのは確かに、”あの頃”の、オールドスクールなブラックメタルをクリアなプロダクションで再現というか再構築というか・・・したブラックメタルかも知れません。

個人的には自分は彼らの表現に当てはめるなら、プアな音にもノスタルジーを感じる方で、例えばDarkthroneのTransilvanian Hungerアルバムなんかは特に、あの音でしか表現できない怨念みたいなものを感じまくるタイプです。なので、あの頃の作品には独特のマジックがあったと思わずにいられないので・・・

本作のクリアな音作りを通して感じるのは、なんというか、確かにオールドスクールブラックメタルの良作で、それらしさもとっても巧みに取り入れられていて目を見張る要素も見え隠れしてるんですが、どうもその音質のクリアさがブラックメタルの、それこそ彼らの望むカルトでネオサタニックな雰囲気をスポイルしてしまってるような気もしてしまうという・・・。うぅむ。

どう表現したらいいかムズカシイのですが、全体的にフラットな感じの音に聴こえる気がするので、もう少し、バランスに抑揚があるといいのかな?音質のクオリティを落とさずとももっと味のある雰囲気を生み出す方法がきっとあるはず。偉そうにスミマセンどうか殺さないでください><

Cult of Black

・・・実はこのレビュー書くのに、インタビュー読んだりあれこれ構成考えたりで、手をつけ始めてからすでに数週間、ずっと作業中はヘヴィロテしてたんですが、それでもそれほど飽きもせず聴いてられるあたり、やっぱりなかなか悪くないブラックメタル巧者による好盤ではないかと。

 

”我々は次なる何かになりたいとは思わないし、それというのは実際我々の事ではない。そうだったことは決してないし、これからも決してそうはならない。単にあの頃のようにあるだけ。それをアンダーグラウンドに、マジカルに、選ばれし小数のためにし続けること。我々が成し遂げたいのはひとつ、その炎を燃やし続けること。”

変な訳になりますが、このあたりの発言が彼らの姿勢を最も語ってる気がします。いくら自分ごときがごちゃごちゃ書いてみたところで、彼らは彼ら自身、Black CultはBlack Cultであり続ける。そういう事なのでしょう。

 

参考にしたインタビュー記事は彼らの公式ページから。↓

Black Cult Official site

 

Amazon様

 
Black Cult – Neo-Satanism

 


Cathedral of the Black Cult