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[レビュー]Kolac – …No God (セルビア/ブラックメタル)

[レビュー]Kolac – …No God (セルビア/ブラックメタル)

 

セルビアの首都ベオグラード出身のブラックメタルKolacの初期デモ音源で、2009年作品。たぶん2ndデモにあたると思われます。Discogsでセルビアのセラーに大量に注文したうちの1枚。プロCD-R仕様で、ディスクレーベル面は手張り?なのかシワがよってますが再生には支障なし、というコンディションの品。

関連情報的なもの

2009年の2ndデモ音源という事で、収録曲は全6曲。そのうち4曲がオリジナルで、残り2曲はフィンランドのHornaと、なんと(!?)日本のSabbatのカバーという構成になってます。

このデモ時点でのメンバー構成は、Zlorog氏(当時はDivo-Kozaと名乗ってます。ギター、ヴォーカル、ドラムプログラミング)と、Grob氏(ベース)の2人。この2人は当時からずっと在籍してて、中核メンバーといって良さそうです。

また、ブックレットのサンクスリストには元The Stone/May Resultで、Grom RecordsオーナーでもあるMilan Rakić氏(=Urok氏)や、隣国ボスニアのSilent KingdomやKRVのAmir Hadžić氏の名前が。詳細は書かれてませんが、どういう関係か気になるところです。一緒にライブやってた、とかかしら。

 

彼らのインタビュー記事の中に、本デモについて触れている箇所があるので見てみると・・・

このデモはセルフレコーディングし、セルフプロデュースし、セルフリリースした、完全にDIYで出来上がった作品なんだそう。それから、1stデモはあんまりプロフェッショナルな出来ではなかったので、その点でこの2ndデモは始めてのシリアスな作品、とのことですね。

歌詞のテーマは彼らの他の作品と同じく、組織化された宗教への憎悪といったものが中心で、それはキリスト教だけではなく全ての宗教に対してのもの、のようです。宗教は皆同じく”Bullshxx”だそうで、なんでも意思の弱い大衆をコントロールするために作られてるから、というのが彼らの表現。

カバー曲のチョイスについては、彼らのお気に入りであり、影響を受けたバンド達へのリスペクトを示したかったんだそう。

 

・・・という事で、音楽の方へ参りましょう。

本編

余計なイントロ一切無し!でズドンと幕を開けるあたりがオトコらしい1曲目。その名も“Holy Threesome”って、またなんという題でしょう!>< ブラックメタルらしいというかなんというか、あんまり品の無い系(褒めてます)そのまんま、ということでしょうか。

その曲名に恥じず、その音像はかなりクール。3つくらいのトレモロリフを繰り返すシンプルな構成ながら、暴走ブラストビートとも相まって、爆撃感が素晴らしく映えてます。リフというかメロディはあんまり起伏のないものですが、一方それでいて妙なニヒルっぽさも漂わせていて格好良い。まさにキラーです。Murdukにいくつかこんなテイストの品があった様な。

 

続く2曲目はフィンランド勢にありそうな(?)ちょっと荒涼としたタッチもある品で、その点では割と基本に忠実というかオーセンティックなブラックメタル、という感じ。ここでもリフの基本はガリガリしたトレモロリフです。

作品全編について言えそうですが、音作りはクリアで、ノイジーさも控えめなので、割とすっきりして聴こえます。例えば別記事で触れてる彼らの2ndアルバムは、本デモと比べるともうちょっとノイジー&ダーティな質感だったはず。

 

そして中盤の鬼のようなブラストビート&トレモロの嵐が強力な3曲目。ブラスト&トレモロの嵐、と書いてしまうあたりで、昔ながらのブラックメタルそのまんまで、特に新鮮さも見当たらないのと同義になりそうですが・・・それでもこの凶暴性がたまりませんです。あとはドラムスの音がちょっと打ち込みっぽい響きに思えましたが、やはりそのようです。

 

そしてオリジナル曲最後の4曲目まで、頑なに彼らの、昔ながらのブラックメタルに忠実な音は続き・・・やっぱりちょっとMurdukのイメージに近い気がする。。。

 

5曲目はフィンランドのHornaの名曲”Black Metal Sodomy” のカバー。初聴きのときは収録曲をチェックしてなかったので、「なんかちょっと雰囲気違うぞ・・・あれどっかで聴いたリフな気が・・・これHornaやん」なんて具合でした。原曲冒頭のゴリ押しリフや、中盤の跳ねるようなリフとスラッシーなリズムのスリリングさもばっちりカバーされてます。というか彼らKolac自身がHornaっぽいテイストを持っているので、もともと変なギャップもないって事になるのかな。

 

そしてラスト6曲目は日本が誇るSabbatの“Charisma”のカバー・・・なのですが実はSabbatはちょい聴きした程度なので、原曲あんまり覚えてないのです。修行が足りませんね、はい。ただSabbatオリジナルのスラッシュメタルのイメージよりは、もっとブラックメタルど真ん中な雰囲気に生まれ変わっていそう。ファンの皆様どうかご自身の耳でお確かめを。。

聖なるトリオへの序章

本作で聴ける彼らのブラックメタルというのは、よく言えば基本とか伝統に忠実な正統派。悪く言えば特徴のあまりない、ありがちなブラックメタルの典型。ということになってしまいそうなのですが・・・1曲目の“Holy Threesome”が格好良すぎるので、そのへんの議論は割とどうでもよかったりする、というのが個人的な総括というか。

そして実際、続くフルアルバム作品でも、彼らは変わらぬ伝統的なスタイルで己のブラックメタルを続け、文字通り“Holy Threesome”を体現していくことになります。

 

古き良き時代の香りを継承し、守り続ける彼らの序章に位置づけられる1枚という事で、小難しさや小細工抜きの「ブラックメタルはオールドスクールだよ兄貴」というお方に。

 

この記事を書いている時点で、本ブログで彼らの音源をご紹介するのは2作目になりますね。↓記事では彼らの2ndフルアルバムも紹介しています。ご参考に。

[レビュー]Kolac – Zauvek Crni(セルビア/ブラックメタル)



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