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[レビュー]BegUsToStop – Overdose Reality(セルビア/デスメタル・グラインドコア)

[レビュー]BegUsToStop – Overdose Reality(セルビア/デスメタル・グラインドコア)

セルビア出身のデスメタル・グラインドコアBegUsToStopの1stフルアルバム。2019年作品。フランスのデス/グラインド系レーベルMeat 5000 Recordsからのリリースで500枚限定らしい。Bandcampで同レーベルからお取り寄せ。

関連情報

バンドは2015年、セルビアで結成されました。翌2016にはEP”I Shit on This World”をリリースしています。

2017年から2018年にかけて彼らは首都ベオグラードのWave Studioでデビューアルバムのレコーディングを開始。そして2019年リリースの1stフルアルバムとなるのが本作”Overdose Reality”です。

ここでのバンド編成は、ShiljaことNebojša Đurković氏(ギター)、Damir Copić氏(ベース)、Milan Petković氏(ドラムス)、Borko氏(ヴォーカル)という4人。

アルバムのプロデュースはIgor Lončar氏。彼は同郷セルビアのゴシックメタルThe Father of Serpentsや出スラッシュThe Hellのメンバーでもあり、プロデューサーとしてDaggerspawnやSacramental Blood、Надимач(Nadimač)などなど、数多くのメタル作品を手掛けてますね。

こうしたレコーディングスタジオとプロデューサーつながりでしょうか、ゲストヴォーカルに、スラッシュ・クロスオーバーНадимач(Nadimač)から、Danilo “Dača” Trbojević氏が参加してるのが注目です。

 

そして2021年にはフロントマンがPavle Bojković氏(ヴォーカル・ギター)に交代して、2ndアルバムとなる”LJ​.​D​. ​S​. ​G​.​V​.​N.”をリリースしています。

その2ndアルバムは以前に本ブログでご紹介しています・・・その後彼らは解散してしまっている模様。なかなかに破壊的なデス・グラインドを聴かせていただけに残念。

[レビュー]BegUsToStop – LJ​.​D​. ​S​. ​G​.​V​.​N.(セルビア/デスメタル・グラインドコア)

爆音ドラムスとドロみのデス/グラインド

効いた感じはグラインドコア的刹那感が満載の、ドロドロなブルデスといった印象の本作。収録曲のほとんどが2分程度と短いので、そのあたりで言えばやはりグラインドコアとも呼べる作風でしょう。

良い感じにファットに歪んだ、水っぽい質感のギターサウンドが、ドロドロ感をうまく表現してる音作り。グラインドコアらしいグチャり感で素敵です。が決して何やってるかわからない程ではなく、大げさに言えば初期Carcassの作品をもっとクリアにした感じ?

そんな美味なるドロ味にマッチしたヴォーカルはいい感じに湿っぽい低音グロウル系ですが、ときおりガテラル風だったり絶叫してみせたりと、さりげなくいい仕事してます。

手数も豊富でアクセントも効かせてバカスカ打ち鳴らされるドラムスも騒々しくて気合入ってます。ドラムスの音量はかなり大きめの音作りのおかげか、スネアロールのリズム感も良く引き立ってて非常に心地よいですね。

 

冒頭からブラストビート満載で爆走グラインドで襲いかかる1曲目。リフの端々にデスメタルらしい奇怪な歌心もあって、そうしたツカみも良く、ある種キャッチーですらあるという一品。その破壊力に思わず笑みがこぼれそう。

ねっとり引きずるような邪悪さのイントロから、病的な単音リフが不気味な4曲目。曲後半はほんのりロケンロー風なノリですが、ここでのドラムスのグルーヴ感にセンスが光る気がします。

5曲目は「ジャジャーン!」みたいなキメのリフから、全開ブラストになだれ込むあたりが印象的。そしてスラミングパートのビートダウンを挟み、再び爆走という目まぐるしさがクールです。

ずっと攻撃的なポジションは崩さずにいつつも、ハードコア風?の2ビート疾走を見せる9曲目11曲目では、どこか聴いてて爽快な感触もあり、実はブラスト撲殺一辺倒ってわけでもないことに気づかされます。

実際、スピードを落としてデスメタル風な重苦しさで迫る8曲目13曲目の様な曲たちも配置されてて、よく聴けばアルバムの中でも緩急がつけられてて、ちょっと休憩できそうな瞬間も。

・・・かと思えばやっぱりブラストビートがマシンガン掃射みたいに響く12曲目のバカスカっぷりがまさにバンド名の通りBeg Us To Stopな感じで「”止めて”と乞いやがれ!」みたいな容赦なさで素敵。

本編ラスト14曲目にはDanilo “Dača” Trbojević氏がゲストで登場。Надимач(Nadimač)ではいい意味で素っ頓狂なシャウトを叫びまくる彼ですが、ここではどちらかというと過去に在籍してたDaggerspawnのでやってたようなデスヴォイスを久しぶりに聴かせてます。

 

全編に渡ってゴリゴリのデス/グラインドが炸裂しまくってますが、後半はちょっと1曲1曲のツカみがどうも薄くなってくる気がする気がするのが難点でしょうか。アルバム前半は結構キャッチーなリフやリズムが飛び出すので、聴いててかなり楽しめるのですが、後半に進むにつれて慣れてくるのか食傷気味になってくるのか・・・ピザは最初の2枚が最高に美味しくて、食べ続けるとだんだん嫌になってくるアレみたいな、贅沢な難点です。。

破壊衝動のお供に

ブルデスの破壊力と狂暴性に、グラインドコアの残虐性と瞬発力で、破壊音をある意味爽快に堪能できる作品。

ブックレットに”stay sick and grind ‘till death”とあるように、徹頭徹尾ぶちかますグラインド・デスの素敵盤で、毎日が嫌悪感で一杯な時に聴くと、その苛立ちによく馴染んで非常に心地よい。

なんというか、なんでもいいからブチ壊してやりたい、みたいな気分の時ってあると思うんですけど、そういう時にその破壊衝動に直結して昇華してくれるようなそんな音。

ブルータル方面の音楽って概ねそんな効用かなとも思いますが、本作はなかなかの即効性で破壊音が染みる良作に仕上がってます。キレそうな時の頓服に皆さんぜひどうぞ。。。

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