[Review]Demether – Beautiful (セルビア/フィーメイルゴシック・シンフォ)

[Review]Demether – Beautiful (セルビア/フィーメイルゴシック・シンフォ)

セルビア北部の街ズレニャニン(Zrenjanin)出身のフィーメイルゴシック・シンフォニックメタルDemetherの2ndフルアルバム。2007年作品。物憂げな少女のカバーアートがいかにも、な感じ。

こちらもセルビアのベオグラードでゲットした戦利品で、値段は700円くらいだったはず。ただKhargashの記事でも書いたのと同様で、新品なのにプラケースはスリキズだらけ&開閉のツメ折れとコンディションは良くない>< これもセルビアの流通事情を物語ってるってことなんでしょうか??

バンド関連情報

関連情報を調べてると、分かりやすいバイオグラフィーを発見したので、少し読んでみましょう。

バンドの結成は2002年で、コンポーザーでキーボード担当のDamjan Deurić氏、ギタリストのDarko Visković氏とヴォーカルのDunja Deurić女氏によって結成されました。キーボードのDamjan氏は後にクロアチア/ボスニアのベテランメタルバンドのDivlje Jagodeにも加入することになります。

その後、何度かのメンバー加入・交代を経て、2003年に1stデモ”Sound of a Horn”をリリース。このデモをきっかけに、ベストデモ・アワードを受賞したり、セルビアのZaječarska Gitarijadaというロックフェスでも賞を獲得したりと、彼らは注目を集めるようになっていきます。

余談ですがセルビアの英会話講師はZaječarska Gitarijadaフェスを「ギタリアーダ」と呼んでました。

Gitarijadaフェスの後、彼らは1stアルバムのレコーディングを開始して、2004年にリリースされました。アルバムは好評をもって受け入れられた様です。

2006年には再びスタジオ入りし、2ndアルバムである本作のレコーディングに着手。同年の、セルビア最大のロックフェスであるEXIT Festivalにへの参加も成功させ、翌2007に本作、”Beautiful”がリリースとなりました。

翌年にはいくつかのフェスに参戦したりしていましたが、その後の作品リリースは、現時点でシングル3作品にとどまっている様です。3rdアルバムリリースの動きもあったようですが、はっきりとした見通しは不明です。

淡いようで案外多彩?

ここではアルバムを聴きながら、印象的な瞬間を切り取ってみましょう。

ピアノの音色が美しく儚げでありながら、オーケストレーションとの組み合わせが何かちょっとドキドキさせる壮大さを運んでくる素敵なイントロ・インストの1曲目。アルバム冒頭から絵に書いたようなシンフォニックメタル感。

続く2曲目も、導入の壮麗なオーケストレーションが耳を引き・・・一方で歌メロはどこか儚げで、それでいてどこか澄んださわやかさも香ります。どことなくオランダ産フィーメイルゴシック・シンフォ勢っぽい雰囲気?Delainの1stってこんな感じじゃなかったっけ?みたいな。

3曲目はまさに(?)フィーメイルゴシックな1曲。オーケストラサウンドを伴いながらゆっくりと進行し、ふわふわとDunja女氏の歌声が漂う。パッと聴きのインパクトは決して強くない一品ですが、この淡さがこのジャンルらしい。

歌詞は基本英語なのですが、この曲の後半部分で切り込んでくる、セピア色のもの悲しい、トラディショナルなメロディーに乗せたセルビア語歌唱にうるっと来ます。お気に入りのひとつ。

4曲目では少しテンポを上げて・・・これは彼らのパワーメタル方面のテイストが出てる曲かも知れません。アップテンポに跳ねるような進行が、これまでと少し違う色合いを感じさせます。

6曲目は前半部にちょっとおどけた感じのメロディを持つ曲。これはゴシックというよりはシンフォニックメタル的というか

続く7曲目は本作の中で一番好きな曲かも知れません。冒頭のいかにもヨーロッパ的なファンタジックで牧歌的なメロディーが素晴らしい。こういうのに弱いんです自分。このフォークロア感や歌声の透明感と浮遊感で、聴く度にMidnattsolを思い出してしまうのは自分だけでしょうか。。。

静寂の中、ピアノとチェロの音色が漂い、しっとりとした男性ヴォーカルとのデュエットを聞かせる8曲目は静のベクトルのハイライト?かも知れません。

9曲目は本作の中で最もストレートな曲調を持つ一品。エモーショナルな男性ヴォーカルもここに加わり、秋風が吹き抜けるようなドライブ感(??)。最後のギターソロからピアノの音色でフェードアウトしていく様がなんともメロウです。

そして10曲目は組曲構成になってる、きっと気合の入った1曲・・・と思われるのですが、あんまり耳を引かない>< 逆に言えばただ淡々と鳴ってるその感じがゴシックっぽいとも言えなくもない気もします。ちりばめられてるメロディーや、各パートの音色は決して悪くないので、雰囲気は充分。

 

・・・と思いつくまま、引っかかるポイントを書いてみると、本作が思ったよりも多彩なことに気付きます。

実はただ流して聴いてる限り、全体的に淡い感じの、ちょっとシケ系のフィーメイルゴシックかな、程度の印象しかなかったのです。音質もややチープですし。。。

しかし耳を澄ませば、アルバム全体のトーンは統一されていながらも、各曲のカラーは案外バリエーション豊か、という絶妙ともいえる風合い。B級フォロワーと切り捨てるのは簡単ですが、案外聴き捨てならぬ魔力も封じ込められてるのでは。

セピア色の好盤

Metal Archivesのカテゴリ分類では、ゴシック/パワーメタルと表記されてますが、ゴシック色が強めのバランスかなぁというのが個人的な第1印象。

参考に前作をYouTubeで少し聴いてみたりしたのですが、なるほどカテゴリ的には、前作は確かにゴシック/パワーメタルという表現がしっくりきそうな作風。なんというか、初期Nightwish直系の、ある種正統派のキラピロ感。若干のシケ感も当時のNightwishに近い気がします。Dunja女氏のヴォーカルのスタイルやトーンもTarja女氏のそれに近いのでなお、です。

比較すると本作はパワーメタル感を抑えて、もう少し大人びたというか、耽美ゴシックの風味が強くなったというか、そんな印象。本作ではゲストにチェロとヴィオラ奏者を迎えていることもあるのか、キラキラ感よりは楽器の音色が醸し出す幽玄さが強まってるようにも感じます。

たぶん、よりキラキラシンフォニック方面がお好みなら前作を、物憂げなセピア風の色彩感覚がお好みなら本作を、という風にすみ分けもできるかも知れません。

聴く人によってはやや地味と捉えられそうな気もしますが、個人的にはそのあたりがフィーメイルゴシックならではの味わいのひとつではないかとも思います。このあたりがお好きな方には是非。

 

参考にした記事。

DEMETHER (Serbia) Symphonic/Gothic Metal – Black Phoenix Rising Metal Forum


Translate »