[Review]Siddharta – RH- (スロヴェニア/オルタナティヴ・ゴシックロック)

[Review]Siddharta – RH- (スロヴェニア/オルタナティヴ・ゴシックロック)

今回ご紹介するのは、スロヴェニアのオルタナティヴ/ゴシックバンドSiddharta(シッダールタ)の3rdフルアルバム。タイトルはRH-(-←はネガティブとバンドは呼んでました)。

自分がゲットしたのは2005年リリースのボーナスDVD付デラックスエディション。ちょっと調べてみると、先立つ2003年にオリジナルのスロヴェニア語盤がリリースされていて、その英語ヴォーカル盤、ということになるようです。

バンド名のSiddhartaはヘルマン・ヘッセの小説のタイトルから取ったものだそう。かなり昔に確か『車輪の下』だったかを読んだ気がするのですが、当時の自分にとってはちょっと難解だったこと以外、全く覚えてない><

“メタル”講師のオススメ

このバンドについては、セルビアの”メタル”英会話講師の一人の超お気に入りで、「ゴスロック?かなんかそんな感じなんだけど、そういうの好きならオススメ」ということで知りました。そしてYouTubeでチェックしたところ、後述する”Insane”という曲がかなりツボだったので購入。

それからその講師に「買ったよー。」と見せたところ、なんだかメチャ嬉しそうにしてました。

そんな講師とは↓で話してます。

スロヴェニアの大御所

彼らの出身地であるスロヴェニアはバルカン半島の北西部に位置していて、旧ユーゴスラヴィアの構成国の1つ。イタリア、オーストラリア、ハンガリー、クロアチアと国境を接しています。

いまではスロヴェニアで最も有名なバンドの1つらしい彼ら。バンドの結成は1995年。ボーナスDVDに収録されているインタビューによると、結成当初はお気に入りのバンドのカバーからスタートしたそうですが、次第に自分たち自身を表現するように、オリジナルの曲にも取り組むようになったんだとか。

それからほどなくしてバンドにサックス奏者とキーボード奏者を加えて6人編成となった彼らは、そのSiddhartaサウンドを確立し、現在までコンスタントに活動を続けているようです。

本作は、これまで彼らがリリースした9つのフルアルバムの、3作目になります。

ゴス&ケルティック風味

彼らの他の作品は未聴なので、現時点で彼らの音楽性を理解できているとは言いがたい気もしますが、本作で聴けるのは、かなりキャッチーで聴きやすく、オーケストレーションからエレクトロ風味、果てはケルティックまで自由自在なオルタナ/ゴシック。

あまりそっち方面は詳しくないですが、オルタナロックをベースにしつつ、ゴス風のウェットなヴォーカル、ちょっとメタリックなバンドサウンド、オーケストレーションやエレクトロアレンジなどを各曲の味付けに盛り込んだ音、という感じでしょうか。

そしてそういった味付けは、決して濃すぎないというか、あくまで風味であったり、スパイスを加える程度の利かせ方なので、とても聴きやすいのです。その意味では、万人受けも確かに狙えそうだし、本国を中心に売れてるのも納得かも。

 

ストリングスの緊張感を漂わせつつ、ちょっとドリーミーな雰囲気も漂うイントロの1曲目から、そのままの流れでメタリックなギターリフとストリングスの音色がスリリングに絡み合う2曲目へ。その名も”Japan”。ちょっと驚きのタイトルなのですが、曲調も歌詞もあんまり日本っぽさはないです。

どちらかというと、ストリングスの音色が爽やかながら、歌メロはどことなくメランコリックな感じの、ドライブ感あふれる曲かなと思います。

3曲目は、ちょっとセンチメンタル風な入りから、熱いサビになだれ込んでいく力強い曲。ヴォーカルの低音の声質はちょっとぬめっとしたウェット感の、ゴシックメタルでよく聴く気がする系統です。フィンランドの今は亡きTo/Die/Forをちょっと軽くした様な、というと近いでしょうか。

そして個人的にベストの4曲目、冒頭で触れた”Insane”という曲です。ほとんどこの曲が決め手になって、本作を購入したといっても過言ではないという。ケルティックなホイッスルと弦楽器のオーケストレーションがキメのパートをリードする美しく壮大な曲。

そのメロディーだけでも胸を締め付けるようだというのに、さらにヴォーカルの時にメロウ、時に熱くエモーショナルな歌唱が・・・ほとんど必殺。こういうのに超弱いんです自分。

6曲目は、これぞユーロロックな継ぎ目の全くないスムースさに驚く、なめらかな肌触りのちょっと脱力ソング。メロディーといい、ゆるりと心地よいリズムといい、異彩を放ちながらもアルバム全体のバランス感覚を狂わせないあたりが見事。

続く7曲目も耳を引かずにはいられない、ちょっとシニカルでエキゾチックな響きのメロディを持つ1曲。バルカンのバンドだからこそ取り入れられるメロディのセンス、なのでしょうか。一方サビのパートは案外ストレートなロック風で、このあたりのアレンジやさじ加減は、クドくなりすぎずキャッチーさを効果的に生んでいる気もします。

8曲目は比較的普通の、メタリックなヘヴィさもあるバラード、かな。

それをはさんで、9曲目では再びケルティックなオーケストレーションが冴える、感傷的なバラード。これは普通に美しい。歌メロはちょっと懐かしい響きもあって、ここでも流れるようなスムースさが光ります。恐るべきメロディセンス。

本作で一番ヘヴィでゴシックな色合いを放ってる気がする11曲目。メタリックなギターリフはなかなかヘヴィ。これはちょっとエレクトロっぽいアレンジも効いていて、そのあたりがゴス風味。さらにサビの、朗々としたディープな歌唱はいかにもゴスメタルな感じで、歌いまわしがなんとなく昔ちょっと聴いたスウェーデンのDeathstarsあたりを思わせます。

キャッチーで滑らかなメロディのユーロロック

あれこれと印象的だった曲を取り上げてみましたが・・・

特に、ほとんどダレず粒よりの曲が並んでるのが驚異的。そしてそれぞれがきちんと違ったカラーを持っていて・・・というのはこれまであんまり出会ったことがないかも知れません。とりわけ前半7曲あたりまでの、まるで全曲シングルでもいけそうな感というのは、なかなかお目にかかれるものではありません。

そしてたぶん彼らのアピールポイントのひとつは、途中触れたように、歌メロのメロディ感の滑らかさなのではないか、とも思います。これぞユーロロックの真骨頂とでも言わんばかりの、継ぎ目のないスムースさが光りまくってるというか。

スロヴェニアのバンドを聴くのはこれが初めてでしたが、その音楽にも、スロヴェニアという地域特有の、ヨーロッパ感とエキゾチックなバルカン地域のセンスのミックスがあるのかも知れません。

1曲1曲は非常に分かりやすく仕上がっていながらも、ゴスだったりケルティックだったりエキゾチックだったり等々の要素を取り入れ、さらにキャッチーさをプラスするのが(たぶん)Shiddharta流。その見事なセンスに驚かされる1枚。教えてくれた英会話講師に改めて感謝。

amazon様↓


Siddharta – Rh-

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