[レビュー]Kreation Kodex – Puzzles of Flesh (スロヴェニア/ブラック・デスメタル)

[レビュー]Kreation Kodex – Puzzles of Flesh (スロヴェニア/ブラック・デスメタル)

スロヴェニア出身のKey入りブラック・デスメタル、Kreation Kodexの1stフルアルバムにして唯一の作品。2011年作。リリースは同じくスロヴェニアのOn Parole Productionsから。

関連情報

これまたいつものように関連情報に乏しいバンド&作品なのですが・・・Metal Archivesによると結成は2004年で、2011年の本作”Puzzles of Flesh”のリリースが唯一の作品になります。公式Facebookによると、翌2012年にはメンバー3人の脱退をアナウンスしていて、同年にバンドは解散になっているようです。

本作のバンド編成は、Alen Murtić氏(ギター、ヴォーカル)、Jana Sluga女史(キーボード)、Miha Kosmač氏(ギター、ヴォーカル)、Timotej Franetič氏(ベース)、Gregor Ambrožič氏(ドラムス)、Nita Premrov女史(ヴォーカル)という6人。

このうち、Alen Murtić氏はブラックメタルのHuman PutrefactionやGrobにも関わっている人物です(どちらも未聴)。それからMiha Kosmač氏Gregor Ambrožič氏は2012にバンドを脱退したのち、デスコアのOnce Was Neverを結成しています(こちらも未聴)。

散漫と煌めきの狭間

全体的な印象は、デスメタル色の濃いKey&女性Vo入りブラック・デスという感じでしょうか。どの曲も多数のリフを曲の中に配していて、1曲の中でも展開が結構目まぐるしい構成な気がします。

そのちょっと突然やや強引に曲が展開してくあたりはDimmu Borgirにも近い気もするのですが・・・本家ほど説得力のない感じがアンダーグラウンドたる所以?

そういう意味でざっと聴く限りではなんだか散漫なアルバムなイメージになってしまうのですが、一方そんななかで、瞬間的にハッとする展開が飛び出すあたりに、聴き捨てならない面も持ち合わせてるのがなんとも(いい意味で)憎らしい。そんなつかみどころの無さとちょっとした輝きが、地下世界のミステリアスさなのかも。

 

以下ではそうした印象的なところに注目しつつ聴いてみましょう。

Nita Premrov女史のふわりとしたファルセットと幽玄なキーボードがイントロを務める1曲目。重苦しいギターリフを力任せに引きずるようにブラストビートと共に疾走。ポーランドのBehemothの様に響く瞬間も見え隠れしながら、目まぐるしく曲は進行していきます。

冒頭の邪悪系デスメタル的高揚感のギターリフが素敵な2曲目。このリフベースで、もっと続けばいいのに、と思わせつつ、曲は無慈悲に展開を続けます。スピード感よりはここでも重厚さが表に出てる感じでしょうか。後ろで鳴ってるキーボードは、色味を抑えた控えめな味付けながら、程よく不穏なタッチを加えてます。

4曲目はヴォーカルレスの小品ですが、コンパクトにまとまってて本作中では随分キャッチー&メロディアスな部類に入りそう。ギターソロは結構泣き成分も入ってますね。

7曲目はNita Premrov女史のヴォーカルが大活躍する、ゴシック風な趣もある一品。イントロではピアノの音色も使われていて、その響きや男女ヴォーカル等、作中でもカラフルな色彩がより強く出てる気がします。曲そのものは割と淡々と重めな構成なので一見地味めかとも思えそうですが、個人的にはこのダークな幽玄さが結構好き。

8曲目はもの寂しいギターの音色から、女性Voの呪術詠唱のメロディと共に一気に狂気の渦巻くリフが切り込んでいきます。この曲は聴いててなかなかに耳を引く攻撃性を放ってる気もしますね。なんというか、音作りはたぶんかなりデスメタル寄りに聴こえるのですが、構成というか展開の迷路感とかキーボードの幽玄さにブラックメタルが香るという・・・個人的にはポーランドのVesaniaのイメージと近い気がするのですが、合ってるかな?

9曲目は個人的に一番のお気に入りかも。中盤の夜空に星の煌めくようなキーボードの音色と、それと共に響く金切り声、疾走を始めるドラムスの一体感に、一瞬Cradle Of Filthみたいな暗黒甘美なロマンティシズムを感じます。このピークを打つ感じが文字通り胸を打つ瞬間なのですが、それ以外の展開はなんだか散漫気味でイマイチ掴みづらい、というのは本作全体を通して共通。。。

妄想の果てに

こうやって聴いてるとこのKreation Kodex、ひょっとするとAlen Murtić氏のブラックメタル志向と、Miha Kosmač氏とGregor Ambrožič氏のデスメタルのベクトルの融合、あるいはせめぎあいの様な音楽性なのかも、と思えてきます。勝手な妄想になりますがその化学反応も恒久的には続かず、ついには別離の時を迎えた、と。。。

そう考えるなら、作品全体に漂う、どこかどっちつかずで注意散漫な感じもある意味頷ける気もしてきます。瞬間的にはハッとさせられる輝きを放ったかと思うと、またある時には曲中の展開の変化が支離滅裂だったり・・・せっかく格好良すぎるリフがキマリまくってるのにそれを一瞬で手放してしまう様な口惜しさたるや・・・てな感じなのです。

ざっくリ書くとなかなか見事で、ちょいちょい超格好良いのにスゲー惜しい、みたいな。

あれこれ考えながら聴くと、あふれるアイデアと色合いの異なる要素の融合の難しさと可能性を思い起こさせられる様な作品、という事になるでしょうか。そんな暴虐と華麗さを行き来する様に目を回す様な品。


Kreation Kodex – Puzzles of Flesh

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