[Review]Infidia – Reflections (スロヴェニア/フィーメイル・シンフォ/メロディックメタル)

[Review]Infidia – Reflections (スロヴェニア/フィーメイル・シンフォ/メロディックメタル)

 

スロヴェニア北東部の都市マリボル(Maribor)出身のフィーメイルシンフォ/メロディックメタルInfidiaの1stフルアルバム。2009年作品。リリースは同じくスロヴェニアのOn Parole Productionsというところから。以前にDiscogsでセルビアのセラーから大量購入したものの1つです。

 

Discogsで大量購入した時のお話はこちら↓。ご参考に。

[海外通販記]初挑戦のDiscogsでセルビアのセラーに大量注文・編[第3弾]

関連情報

今回の主な情報源はいつものMetal Archivesと、バンドのオフィシャルFacebookページ。

それらによると、バンドの結成は2004年。Andrej Lebar氏(ギター)とSašo Corso氏(ドラムス)がバンドの創設者にあたり、すぐ後に、Nejc Gselman氏(ベース)、Uroš Eršte氏(ギター)、Katja Sevsek女氏(キーボード)が加入しています。

少し後にTina Kic女氏(ヴォーカル)を迎え、バンドの活動が本格的に加速。スロヴェニア各地でライブを行ったり、独自の楽曲作成に入っていったそう。2007年にはEP”Led by the Light”をリリースしています。

2008年には、ベーシストがNejc氏からMiha Ozvaldič氏に交代。同年には1stアルバムである本作”Reflections”のレコーディングがスタートし、翌2009年に完成・リリースとなりました。ブックレットには明記されていない(ような気がするの)ですが、本作ではライブ録音のコーラスパートが部分的に導入されているとのことです。

また、断片的にしか情報がありませんが、後の2011年にはスロヴェニアの首都リュブリャナ(Ljubljana)で、オランダのフィーメイル・シンフォメタルEpicaのサポートアクトを努めたようです。オフィシャルFacebookページに、その時の写真が載ってますね。

しかしMetal Archivesによると、残念ながら翌2012年にバンドは解散。Facebookページにも、「少なくとも音楽的にはバンドはもう存在していない」との書き込みが見られます。そこでは微かに再結成の可能性についても言及されているのですが、それもずいぶん過去のコメントなので・・・やはり解散状態というのは間違いないのでしょう。

フルアルバムとしては最初で最後となった本作”Reflections”ですが、果たしてどんな音なのでしょうか。

王道のキラキラ感が印象的

全体的には、分かりやすく聴きやすい女性ヴォーカルのメロディックメタル。例えばゴシックメタルのような暗さはあまり感じず、メロウなパートは配置されつつも、基本的にはポジティブなカラーの作風、だと思います。

シンフォとかメロディックとかパワーあるいはゴシックとか、そういったサブカテゴリ的な分類のニュアンスを表現するのはなかなか難しいスタイルでもありますが、キラキラとした透明感のあるキーボードの音色に装飾された、メロディック/パワーメタル、という感じでしょうか。

曲のスピード感で言えば、メロスピのような疾走ではなく、正統派メタルの重厚なテンポといったらいいのか・・・。という事である意味王道を行くスタイルかも知れません。あんまりそのあたりは詳しくありませんが。

Tina女氏のヴォーカルはファルセットを使わない地声(?)歌唱スタイルなので、オペラティックとかそういう雰囲気はほぼありません。歌声自体は普通というか特別強力なインパクトのあるものではありませんが、線が細すぎて残念という事もないと思います。

 

”Find Me I’m Yours Tonight!”のヴォーカル&コーラスがオープニングから高らかにキマる1曲目。キラキラしたキーボード、ドコドコしたアップテンポの2バス、滑らかなサビのメロディ、アツく切り込むギターソロ等々いかにもメロディックメタルを聴いてる、という感じで思わず頬が緩みそう。この曲に限りませんが、冒頭の”Find Me~”のフレーズの通り、歌詞はちょっとくすぐったい感じのロマンティックさです。

続く2曲目前半は甘めの1曲目から少し雰囲気が変わり、ちょっとビターでダークなギターリフがアグレッシヴさを強調します。ヴォーカルのTina女氏の歌唱も心なしか噛み付かんばかりのワイルドさを試みているように聴こえます(実際はそれほどでもないのですが汗)。サビで輝くキーボードのキラキラした音づかいは北欧勢のイメージでしょうか。

3曲目はこれまたメロディックメタルど真ん中といった感じで、悪く言えばそれ以上でも以下でもないのですが、やはりキラキラ輝くキーボードの音色が綺麗。ヴォーカルの高音部分の歌声が、セルビアのエピックメロパワCraymoreanのDejana女氏を思わせる瞬間もあり・・・ますが例えがマニア過ぎますね。

ほんのりゴシック風なトーンも香る4曲目は、本作の中でも屈指のキャッチー曲の部類に入りそうです。ピアノの切なげな音色をバックに淡々と進み、サビでは一気にクワイア隊と共に盛り上がりを見せ、劇的に展開していきます。ここでは楽器隊は割とひんやりした演奏な一方、ヴォーカルはエモーショナルな瞬間もあって、鮮明なコントラストが描かれてるように感じます。

そしていかにもメタルバラード、といった感じの5曲目がメランコリックに過ぎ、続く6曲目はなんと(?)Spice Girlsの“Viva Forever”のカヴァー。いや原曲全く知らないので試しにYouTubeで聴いてみましたが、オリジナルはなんだかしっとりゆったりドリーミーな雰囲気なのに対して、こちらは完全にシンフォニックメタル化しています。淡い歌メロが見事に生きてる、って事で良いんでしょうか。。。

次に印象的なのは9曲目。クワイア隊のコーラスから始まって歌い出しまでの導入部分が完全にNightwish。なのですが曲構成は案外ドラマティックで、Nightwishなのは最初だけで、中盤はゴシックメタル風味の淡く流麗で滑らかなメロディーが、曲の盛り上がりと共に徐々に狂気に変わって行くような。。

そして曲のエンディングに向けて、その狂気が空に向かって解き放たれるようなリードギターのメロディーにドキっとします。本作の中ではかなり意欲的な構成の曲な気もします。

 

アルバムの一応のラストは10曲目は、なんだかちょっとひねくれた?というか不機嫌っぽい歌メロの曲。メロディックモノらしからぬ(?)後味の悪さというか不穏さを残して最後を迎えます。個人的には全然嫌いじゃないですが、もしかすると、前述の9曲目あたりもエンディングが見事なので、それを持ってきたほうが良かったのでは、という気も。

そしてCDのどこにも記載がないので、隠しトラック的な位置づけなのかも知れませんが、11曲目には、5曲目のバラードのスロヴェニア語ヴージョンが収録されています。こちらの方がどことなくメロウな響きが増してる様な気がします。

解散が惜しまれるセンスの片鱗

実は本作を聴いての第一印象は結構普通というか、女性ヴォーカルがちょっとのっぺり風で時折B・C級風にも聴こえる、フィーメイルメタルかな、というものでした。

一方でしばらく聴き込んでると、案外ドラマティックだったり、ハッとされられるような瞬間があったり、最初の印象以上にキャッチーで流麗で時おりほんのりメロウなメロディーが聴こえたりして、B級っぽさを感じなくなりました。音質ももっとちょいチープ風だった気がしてたけど、こんなメタリックに低音効いてたっけ?とかなんとか。

それは単に慣れただけなのかも知れませんが、Epicaのサポートを努めただけのことはある、そんなカラーと説得力が備わってるように、今では感じます。

それだけに、現在は解散してしまってるのが非常に惜しまれます。エラそうな事書いても全く説得力ありませんが、それでも作品の要所でなかなか見事なポテンシャルを感じさせてくれるだけに、もし続けて作品がリリースされていたら、ひょっとしたらひょっとしてたかもしれません。そんな風に感じるのです。

女性ヴォーカルのシンフォメタル、メロディックメタル、ゴシックメタルあたりが好みの皆様に広くアピールしそうな、そんな間口の広さもありそうな作品。



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