[Review]Sacramental Blood – Ternion Demonarchy (セルビア/ブルータル・デスメタル)

[Review]Sacramental Blood – Ternion Demonarchy (セルビア/ブルータル・デスメタル)

セルビアの首都ベオグラード出身のブルータル・デスメタル、Sacramental Bloodの1stフルアルバム。2016年作品で現時点での最新作。これって日本盤?・・・というかGhastly Musicという日本のレーベルが本作をリリースしてるという事のようです。

このSacramental Bloodについては、インタビュー記事が結構発見できたので、周辺情報とあわせて理解を深めることができそうです。

バイオグラフィー的なもの

バンドの結成は2002年。ギタリストMilan Dobrosavljević氏に、ドラマーのIvan Petrović氏がアプローチするところからバンドの歴史が始まります。

当時Milan氏はそれまでやっていたAndrophagousというバンドを解散したところだったので、Ivan氏と共にSacramental Bloodとして活動することに。

Metal Archivesによると1stデモ”Inception of Ceremony”は2004年にリリースされていて、後2006年にはブラジルのブルデスOphiolatry(筆者は未聴)とのスプリットの形としてもリリースされているようです。同時期にこの2バンドは共にヨーロッパツアーを回ったり、SinisterやVader、Behemoth、Cannibal Corpseといったバンドとも演ってるんだそうです。

Ternion Demonarchy関連情報

本作”Ternion Demonarchy”のレコーディングがスタートしたのが2009年。セルビアで4番目の大きさを持つ都市クラグイェバッツ(Kragujevac)で行われました。

レコーディングの途中では、オランダのGod DethronedとイタリアのFleshgod Apocalypseと一緒に”Storming the Balkans”というツアーを回っています。

そのツアーを挟んだ後、アルバムは一応の完成を見るのですが、メンバー間の意見の相違(?)か何かで、一時バンド活動とアルバムリリースは停止されることに。

2011年に入って、彼らはヴォーカル&ギターにSrđan Todorović氏を迎え、2ndデモ“The Second Death”をレコーディング。さらにメキシコのDisgorge等と”Disgorging the Balkans”ツアーを回ります。

Srđan Todorović氏のヴォーカルが、どうやらバンド内で良い反応をもたらしたようです。”Disgorging the Balkans”ツアーの後でバンドは、”Ternion Demonarchy”アルバムに向けたヴォーカルパートの全部と、6~7割りのギターソロをリ・レコーディングすることを決断。そのレコーディングはセルビアの首都ベオグラードで行われました。

さらに録音された素材は、イタリアの16th Cellar Studioに送られ、ミキシングとマスタリングが行われました。この16th Cellar StudioはFleshgod Apocalypseの音源にまつわる仕事で有名とのことです。

こうして、長い長いプロセスを経て、2016年、ついに本作”Ternion Demonarchy”がリリースになります。バンドの言葉を借りると、2008年には既に曲は出来上がっていたけど、主にお金とレコーディングとメンバーチェンジの問題で、リリースまでに長い時間を費やした、という事のようです。

 

インタビュー記事によると、本作のタイトル”Ternion Demonarchy”は、“reign of 3 demons”とか、“government ruled by 3 demons”という意味だそうです。直訳すると3人(?)のデーモンによる統治、とか3デーモンの支配による施政、と言う感じでしょうか。

そのあたりはカバーアートとも対応していて、玉座に座っているデーモンたちはそれぞれ3大宗教(キリスト教、ユダヤ教、イスラム教)を表しています。また、彼らの後ろの搭(オベリスク・方尖塔)は世界をコントロールし得る3つの都市を表しています。つまり、精神あるいは宗教的中心としてのバチカン、軍事の中心としてのワシントン、金融の中心としてのロンドン。ううむなるほど、かな。

そしてこの意味深なアルバムカバーは、Juanjo Castellano Rosadoなるスペイン人アーティストによるものだそうです。彼は有名どころだとVomitoryとかのアートワークも手がけているそうです。

 

音楽-熟成を重ねた末の仕上がり?

いろいろ情報をまとめてると前置きが長くなってしまいましたが、こうして長い時を経てリリースされたSacramental Blood流デスメタルが一体どんな感じなのか、聴いてみましょう。

[オンライン英会話]お気に入り講師が辞めて打ちのめされた話 Part2[突然の悲劇]

↑の記事で一瞬触れているのですが、この英会話講師がススメてくれていたこともあり、Youtubeで当時ちょっと聴きかじってて、かなりクールなブルデスだった覚えがあります。

アルバム全編に渡って、アグレッシヴかつテクニカルに疾走・炸裂するブルータル・デスメタルで、どこをとってもとてもカッコイイです。テクニカルといえど、行き過ぎて難解になるほどではないので、即効性も抜群。こういうの好きな人は、聴いて直ぐに気に入るはず。

さすが(?)16th Cellar Studioにマスタリング等を外注(って言い方でいいのかな)しただけあって、音質もクリア。もこもこしすぎず、ザクザク感も素敵なギターサウンド&リフに、バカスカと大きめの音量で配置されてるドラムス。ズバババと決まるブラストビートはかなり心地よいです、個人的に。

曲構成やスタイルの感じは、彼ら自身影響を受けたとインタビュー中語っているように、初期Suffocation風というと、近いかも知れません。それを現代の音でやってるというか・・・。Suffocation比で言うと、スラミング風パートを減らして、スラッシーなパートを増量した感じになるでしょうか。自分は非常に好みのバランスです。

その点で言えば、グラインド要素というか、スラミングデス的なドロドロ要素は薄めな正統派(?)ブルデスといっても良いのかもしれません。

 

それから、ヴォーカルはいくつか声色を使い分けている、というか別人なのかな?、なのですが、ObituaryとかDeathで聴ける、ハスキーな爬虫類系のウワァァァギャァァみたいなデスヴォイスがちょっと印象的。

実際obituaryの”Cause of Death”アルバムを人生を変えた作品に挙げているくらいなので、きっとそのことともつながっているんでしょう。

 

アルバム全体を通して出来はよく、充分平均以上の出来栄えだと思われるので、特に文句のつけようもないのですが・・・強いてネガティブな点を挙げるとするなら、アルバム前半の曲のアグレッシヴさが際立ちまくってるので、後半はちょっとダレる感じがある事くらいでしょうか。

セルビアン・ブルデスの名盤

バンドのインタビュー記事内では、彼らは自身の音楽を、速くてアグレッシヴでテクニカルなブルデスだけど、オールドスクールなタッチもたくさんある、と表現してるのですが、確かにそんな感じです。

テクニカルさやスピードの追求を重ね、もはや人間辞めた様な宇宙人級ブルデスも結構出てきてると思うのですが、そうはならず、なんというか古典的・オールドスクールな手法の延長で表現できる攻撃性のギリギリをついているというか・・・。

個人的なお気に入りは4曲目。Exhumedの2ndのどこかで聴いた風な、うねうねスリリングなリフと高速2ビートの疾走感がアツイ曲。中盤はリズムチェンジで地獄の軍隊が蹂躙する最中、神々しいソロが切り込んでくるというワザも見せ付けます。

いやでもとにかく、爆音ブラストビートがバカスカ鳴りまくるぶるっぶるのブルデスな点がサイコー、の一言に尽きるのかも。頭悪い表現ですが。

 

彼らのFacebookでの表現のニュアンスや、セルビアの”メタル”英会話講師の話によると、彼らはここ最近目立った活動をしていなかったみたいなのですが、個人的に朗報もあり・・・。

2019年6月にセルビア北部の都市ノヴィサド(Novi Sad)でCannibal Corpseの前座としてライブがあります。そして幸運な事に、現地でそのライブを観る予定です、筆者。

これはセルビア出身バンドに限ったことではないのかも知れませんが、バンド活動をコンスタントに続けるのはかなり大変というか、エネルギーと情熱の要る事だと思うので、ひとえにそのチャンスに感激。

ライブの様子はまたご紹介できたらと思います。

その点でも個人的の思い出の詰まった1枚になりそうな、そんな素敵なブルデス作品。

追記:ライブ観ました!!

セルビア旅行が実際に実現して、ノヴィ・サド(Novi Sad)という街でライブ観ました。なんとCannibal Corpseの前座です。素晴しい機会でした。

その時の様子が↓記事にありますのでよければご参考に。記事中の後半部分に記載があります。

[ 聖地巡礼??]セルビア&ボスニアひとり旅~ノヴィ・サド編part1[メタルツアーも]

 

 

参考にしたインタビュー記事たち↓

① Interview – SACRAMENTAL BLOOD – My love for death metal was and still is so strong that I had to find the way to make this happen.   

by DEADLY STORM DEATH, THRASH, BLACK, HEAVY, DOOM AND ROCK METAL ZINE

 

 interview with Sacramental Blood

by Robex Lundgren

 

③ Sacramental Blood Interview – October 2016 AB

by Scrolls of Darmoth

 

④ Interview with Sacramental Blood

by

Translate »