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[レビュー]DaggerSpawn – Suffering upon the Throne of Depravity(セルビア/ブルータル・デスメタル)

[レビュー]DaggerSpawn – Suffering upon the Throne of Depravity(セルビア/ブルータル・デスメタル)

 

セルビアのベオグラード出身のブルータルデスメタルDaggerspawnの1stフルアルバム。2009年作品。アメリカのButchered Recordsからのリリース。グリーン&ブルーのカバーアートが個人的にハイレベルなブルデスを予感させます。

関連情報

例によってあんまり関連情報の見当たらない作品で、Metal Archives頼みなのがお約束の関連情報まとめですが・・・

バンドの結成は2005年だそうで、2009年の1stアルバムである本作までにはデモ1本と、スプリット盤を3作などをリリースしているらしい。

当初のメンバーはDanilo “Dača” Trbojević氏(ヴォーカル)、Nenad Petrović氏(ギター)、Jovan Katić氏(ギター)、Srđan Salamunović氏(ベース)、Vlada Mladenović氏(ドラムス)という5人。

基本的にはこの5人編成というのは不変だったようですが、1stアルバムである本作”Suffering upon the Throne of Depravity”ではドラムス担当がVlada Mladenović氏からNikola Janković氏に交代していますね。

このNikola Janković氏はUsudの名前でブラックメタルThe StoneやSvartgren、Triumfallなど数多くのバンドに関わってるマルチプレイヤーです。

それからちょっと注目(?)なのがヴォーカルのDanilo “Dača” Trbojević氏。氏は本作の後、エクストリーム・スラッシュのNadimač(Надимач)に加入し、バンドに無くてはならない個性をもたらすことになる人物です。逆に言えばそのNadimač(Надимач)のシンガーDanilo “Dača” Trbojević氏が過去に在籍してたバンド、というのがこちらDaggerspawnという事になります。

ちょっとした余談ですが、個人的にDanilo氏とは実は「一瞬の」交流があって、例のSerbian Metal Portalでのインタビュー記事が掲載された後にメッセージを頂きました。「Nadimačチョーカッコいいっす。あとDaggerspawnも好きッス!」と返信して少しやりとりしてたのですが、Nadimačの”Raspad sistema”EPではゲストにTaro Kaadoku(原文ママ。You Tube調べTaro Kadookaさん) という日本人の友人に参加してもらってるよ、等いろいろ教えていただきました。

それからDaggerspawnについては、「うん。いたよ。」くらいのリアクションでしたね。。。

 

という事で、個人的な注目(耳)ポイントは、Nadimačでハイピッチ素っ頓狂クレイジーマシンガンシャウトをキメまくってるDanilo “Dača” Trbojević氏のヴォーカルが、ブルデスDaggerspawn時代では一体どんなだったのか、です。

 

Danilo “Dača” Trbojević氏が現在活動してるハチャメチャスラッシュNadimačは↓でも紹介しています

[レビュー]Nadimač(Надимач) – Državni neprijatelj broj kec (セルビア/スラッシュメタル)

魔界の破壊音

全体的には、Morbid AngelとかCannibal Corpseなどなど、古き良き(?)時代のUS産デスメタルのスタイルを下敷きに、ブルータル・デスらしく狂暴性をマシマシにして荒れ狂う作風、でしょうか。

音質は歪みすぎずクリア過ぎず、という絶妙なさじ加減。ブルデスらしいドロみと重みの一方で、ブラスト爆走パートではぶち抜く破壊の爽快感も失われておらず、いい感じ。唯一、ドラムスの音というか特にスネアの音がやや人工的なドチドチした仕上がりなのが気になる気もしますが・・・たぶん印象を大きく損なう程ではないと思います。

個人的にはテクニカル&難解になりすぎてない感じが非常に交換の持てるところで、聴いててストレートにアツさや破壊力に浸れるのが素敵。

 

パーカッションのドコドコしたリズムに、邪悪なうごめきを響かせるイントロの1曲目

そしてその不穏な静寂を破るようにダダダン!とキメのリフからブラストビートに載せてDaggerspawnのブルデスワールドになだれ込む2曲目。ギターはデスメタルらしい歪み感ですが、リフそのものは案外スラッシーな切り刻み系(?)で、重苦しい中にも鋭利な殺傷力を感じます。

続く3曲目もブラストビートを絡めながら爆裂する一品。高速トレモロリフのうにょうにょ感はカバーアートのうごめく触手のイメージでしょうか。リフの歪み感に、それを無慈悲に引きずり回す凶悪さがなかなか凶悪。

オルゴールみたいなキラキラした音色が妙な不気味さを放つインストが4曲目に続き、それから冒頭3連の縦ノリリズムで緊迫感たっぷりに迫る5曲目。これは本作でも1番のお気に入りの曲かも。どことなくCovenantアルバムのMorbid Angelみたいな魔界感で、そういう邪悪の香る感じにうっとり。ブルータルなだけでなく、どこか暗黒の異界感を漂わせるデスメタルのタッチが素晴らしい。

7曲目ではスロー・ミドルテンポでジワジワ妖しく、聴く者のの耳に迫ります。ジャラーン、って不協和音で響くトーンや、ピッキングハーモニクスの怪音がやっぱりMorbid Angelみたいな、魔界の大鍋ぐつぐつ感。

うぃいいいぎゅおあああああ!!みたいな絶叫から開幕の8曲目。目まぐるしく移り変わるギターリフと、緩急行ったり来たりのリズムが襲い来る1曲。キャッチーさみたいなものはやや控えめな品ですが、その分無慈悲に殺戮の限りを尽くしてく冷徹さが印象的といえるでしょう。

 

9~11曲目は生々しく荒々しいライブ音源。すべてアルバム本編の収録曲ということで、曲そのものの格好良さに加えて、ライブならではのイケイケのやったるで!感がひしひしと伝わるようです。

若干テンポも上がってる様で、ドラムスのギリギリ感(実際ちょっと追いついてない><)が微笑ましくもスリリング。シンバル類鳴らしっぱなしでガシャシャシャーン!ってうるさいのもナイスです。これは本物観たらメチャ楽しそう。素敵な空気感を見事に封じ込めてます。音質的には本編に負けず劣らず好きかも。

期待に違わぬセルビアン・ブルデス

そういえば注目(耳)と書きながらここまで触れてこなかったDanilo “Dača” Trbojević氏のヴォーカルですが・・・いやもう後のNadimačでのそれからは想像もつかない、完全なブルデス歌唱で、とても同一人物とは思えない程。

基本はちょっと湿っぽい声質の低音グロウルですが、ハイピッチのスクリームも交えたりして、普通にブルデスのヴォーカルとしてど真ん中の威厳ある咆哮っぷり。Nadimačのあの別次元のイカレっぷりと合わせると、かなりの幅広さを持つ才能の持ち主で間違いないのでしょう。お見事。

音楽的にはやはりMorbid Angel系統の魔界感漂うデスメタルに、ブルデスの炸裂感を加えて仕上げたような、破壊力と格好良さと爽快感の入り乱れる快作といえそうです。

特筆するような尖った要素というのは実はそんなにないのですが、あのDanilo氏の驚くべきヴォーカルに、手堅い即効性も十分なアツいブルデス大爆発な感触で、軽く及第点は超えてる作品でしょう。安心・安定のクオリティで、「そうそう、この破壊音がほしかったのよ」と笑顔になれそうな素敵な一品。

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