[レビュー]Infest – Onward to Destroy (セルビア/デスメタル)

[レビュー]Infest – Onward to Destroy (セルビア/デスメタル)

 

セルビア出身の爆走系デスメタルInfestの2ndフルアルバム。2009年作品。セルビアの最重要レーベルのひとつであるGrom Recordsからのリリースで、ボスニアのプログレッシブ・メロデスSilent Kingdomのリリース等を手掛けるZero Budget Productionsとの共同リリースということになってます。

関連情報

バンドの結成は2002年。バイオグラフィーについてはあんまり詳細な情報を見つけられなかったのですが、中心人物はVandal氏(ギター・ヴォーカル)という事になりそうです。

このVandal氏はセルビアの超重要メロデスBaneや、オールドスクール・デスのDecrepancyにも関わっていた人物で、他にもゲストとして、スラッシュメタルのAlitorやSpace Eater等にも参加しています。それを見るに、セルビアメタル界の重要人物の一人として考えてもよさそうですね。

余談ですが、セルビアの”メタル”英会話講師によるとVandal氏、めちゃいい人らしい。なんでも、何度か会ったことがあるらしいのですが、ばったり再開したときにちゃんと覚えててくれて、しかもVandal氏の方から声かけてくれたんだそう。その英会話講師曰く、やってる音楽はエクストリームだけど、かなり気さくな人となりなんだとか。

 

バンド結成後、2ndアルバムである本作”Onward to Destroy”までは、デモを2本とフルアルバム1枚をリリースしています(いずれも未聴)。そしてその1stアルバムでは、ゲストでなんとThe StoneやMay ResultからKozeljnik氏Demontras氏が参加、ギターソロを提供しているという恐るべき(?)作品。早いとこチェックせねばならない一枚です。

 

そんなセルビアのメタル界の中で様々な繋がりを持つこのInfest、中心人物のVandal氏以外のメンバーはずいぶん流動的な様です。本作”Onward to Destroy”では、Vandal氏(ヴォーカル・ギター)、Glavoseča氏(ギター)、Zealot氏(ベース)、Zombie氏(ドラムス)の4人編成。

ギターのGlavoseča氏はブラック・スラッシュのVehementerや、バルカン・カルトスラッシュのBombarderにも関わっているという手練れで、ベースのZealot氏とドラムスのZombie氏も同じくVehementerに関わっていますね。このZombie氏は他にBaneや、May Resultのライブ盤、The Stoneにも参加していて・・・なかなか強力なメンツと言っても過言ではなさそう。

 

それからカバーアートのデザインには、これまたThe StoneのKozeljnik氏も関わっているそうで・・・直接Infestとは関係ないですが、凄まじいクリエイティブさですねKozeljnik氏。。。

本編 – 絨毯爆撃・全軍前進

さてこのInfest、全体的には突撃感満載のスラッシーなデスメタルといった感じで、基本的にいつでもドカドカバシバシ爆走してるという、聴いてて爽快な作風。

Infestを聴くのは確か本作が初めてだったのですが、第一印象は、「めっちゃVader」。ポーランドの大御所Vaderはそれほどマニアックに聴いてた訳ではないのですが、ファストに炸裂してくスタイルのイメージ(思い込み?)が非常に重なります。

そして何よりヴォーカルのVandal氏の濁った咆哮が、本家(?)VaderのPeter氏のそれにそっくりというか、もはや完全に一致。おかげでもうVader的デスメタルとしてしか聴こえなくなって、他の要素全てを聴き逃しそうなほど。セルビアはポーランドとは地理的に比較的近めだし、似てるのも自然なことなのかな(適当

 

幕開けはちょっと呪術的な雰囲気も感じるアルベジオがぽろぽろ響くイントロ。

続けざまにズンズンと幕を開ける2曲目。冒頭の”ウガァァァ!!”の咆哮がまんまVader。そう、この瞬間のこの一致ぶりがきっと聴く者を笑顔にさせるばず。ギターリフも緊迫感みなぎる格好良さで、これぞまさに突撃型デスあるいはデスラッシュの真骨頂ってな具合です。

3曲目も引き続き、せわしないギターリフとバシバシ飛ばすドラムスの絡みが非常にスリリングな一品。切り込んでくるギターソロのトーンは随分と甘美で高揚感みなぎる感じ。

4曲目も変わらず全力爆速前進な感じですが、曲中盤で登場するスラッシュメタル然としたザクザクのパートでの切り返しが印象的。曲後半では再び爆裂暴走パートに戻り、ここでは狂った音階によるギターソロが炸裂。アーミングの揺れ具合がSlayerみたいかも。

続く5曲目は中継ぎ?的にスピードを落として、行進曲風にダダダダン!と勇壮な鋼鉄感。・・・と思いきや、やっぱりここまでと同じく爆走パートに切り替わります。ここまでくるとなんだかちょっと金太郎飴状態にも聴こえてきますが、後半では3連のリフ&リズムでちょっとヒネリを加えたりもしてますね。

爆裂系ギターリフの音色の端々に感じる歌心というか、ある種のメロディに不思議な引っ掛かりを感じる7曲目。全編爆走、でもちょっと単調かも、というデスメタル聴いてて贅沢すぎる印象の中にあって、ここでは少し「おっ」と思わせるスパイスが聴いてます。中盤のブレイクの後の高らかに歌い上げるギターソロもドラマティック。

8曲目はミドルテンポで、本作の中にあって比較的オーセンティック?なヘヴィメタルあるいはスラッシュメタルの香りを感じさせる一品。地獄の炎が渦巻くような雰囲気、でしょうか。アツさと(いい意味での)汗臭さがメタル聴いてるぅ、てな感じ。

そしてラスト9曲目まで、彼らInfestによる蹂躙は続きます。ここでもドカドカバシバシとドラムスが砲撃を続け、隙間なく畳み掛けるギターリフが炎を吹きます。中盤のドゥーミーな淀みのブレイクで見えるのは瓦礫と灰の山。

 

破壊の後に。

・・・と、全編に渡り激しい爆撃を繰り広げる彼らInfestの本作”Onward to Destroy”。アルバムタイトルの通り破壊に向けて無慈悲に全軍前進。おかげで聴く者の耳にはひたすらに暴力が注ぎ込まれ続けるという素晴らしい作品になってます。

裏を返すとそれが鳴りっぱなしなせいで単調に聴こえるというか、ずーっとドカスカ鳴ってる騒々しい平坦さに聴こえなくもない、というのは上の方でも示唆した通りなのですが・・・。ブルータル感満載のデスメタルに対して、強烈なのが鳴りっぱなしで単調だなんて、なんとも贅沢な注文ですが、そんな悩ましさを放ちまくる全9曲約30分なのです。

たぶん、単調とか似たような曲ばっかりなんてコメントには、「うるせえ。お前ら早いの好きなんだろ?黙ってコレ聴いて一生首振ってろ」とでも突き付けてくるような、気合の入りまくった1枚と言って良いでしょう。

 

Vandal氏が少し関わっていたオールドスクール・デスのDecrepancyは↓記事で紹介しています。ご参考に。

[レビュー]Decrepancy – Paralyzed Will (セルビア/デスメタル)

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