[バルカンの音レビュー]VA – The Rough Guide To The Music Of The Balkans(バルカン/フォーク・トラディショナル)
今回は番外編レビューとして、こちらのCDをご紹介。
World Music Networkというところからリリースされている、The Rough Guide to~というシリーズの1つで、バルカン半島のフォーク・トラディショナル音楽を集めた1枚。
ざっとググると、他にもケルトやらハンガリアンやら、果てはヴードゥーまで、いろいろ発売されてますね。
予備知識はほとんどなくって、昔ジプシー音楽を少し聴きかじったくらい、というのが今の自分の立ち位置ですが、これ聴いたらバルカンや東欧のメタル、とりわけフォーク/ペイガンメタルへの理解も深まるのか?ということで、購入です。
いや実際は中古で激安だったというのが決めテのひとつでしたけども。。
何度か聴いた感じ、これぞバルカンって具合で共通する要素を見つけられなくて、何をもってバルカン的というのか難しいですね。。。
なんというか、どの曲もそれぞれ違ってて、いろんな要素の集合体として、バルカン音楽が成り立っているような気がします。
例えばクロアチアの2曲目は、熱いメロディーがどことなくロシアンな感じがしたり、
ジプシー風ホーンのイントロに続いて、”Ziveli~!!!” (であってるはずたぶん。乾杯の意)の掛け声でダンサブルな演奏が続くルーマニアの3曲目、これはちょっとオリエンタルな香りで、
ボスニア・ヘルツェゴビナの4曲目は、また雰囲気が違ってもうちょっと西よりのヨーロッパ風の、ゆるりとしたタッチ。フランスの街角とかで鳴ってそう?
セルビアの7曲目はジプシーブラスかな。陽気というか能天気というか、これは分かりやすいジプシーっぽさかもしれません。
アルバム一番のお気に入りは続く8曲目。ルーマニアの曲で、早いテンポでヴァイオリンと・・・楽器が判別できないのですが、ケルトのダルシマーみたいな音色が掛け合いで炸裂してます!これもダンサブルで音数も多いので、非常にスリリング。
・・・と、非常に多彩です。明るい雰囲気のものから、どことなくメロウなもの、あるいはもっと土着的な歌唱までさまざま。
全体的な印象で、西ヨーロッパと、トルコあたりの中近東風な感触が3:7くらいの割合で混ざってるようなそうでないような。
まだまだ勉強中でバルカン史的な知識はほとんどないのですが、実際バルカン半島は歴史的にオスマン・トルコ帝国の支配下にあったり、オーストリア・ハンガリー帝国の影響下にあったりしたらしく、それらがきっと、東西のミックスというようなバルカン音楽の形成に大きく関わっているんでしょう。
あとは、ではこれがバルカンのフォーク/ペイガンメタルへの理解の助けになるのかどうかってところですが・・うーん。
今のところ例えばKorpiklaaniみたいな、ああいうスタイルのバルカン出身フォークメタルを見つけられてなくて、正直なんとも言えないです(苦笑)
メタルな英会話講師にも、バルカンフォークメタルみたいなのいるの?って(拙い英語で)聞いてみたりしましたが、どうも露骨なのはあんまりいなさそうで。
もうちょっとあれこれジャンル問わず、バルカンモノ聴きあさったら、少しずつつながって来るのかも知れませんね。
こういう、未知のものを掘り下げていって、新たな世界が開けてくる感じがするのも、いいもんです。なかなか楽しめました。
ただ自分はもうちょっと暗黒方面の住人なので、主食はやっぱりもっと黒いやつですけども。。。
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