[Review]Mgla – Exercises In Futility(ポーランド/ブラックメタル)
![[Review]Mgla – Exercises In Futility(ポーランド/ブラックメタル)](https://wontholdyourhand.com/wp-content/uploads/2018/10/1-1-890x500.jpg)
amazon様
ポーランド出身、ドラム以外の楽器のM氏と、ドラム担当Darkside氏からなる2人組覆面ブラックメタルの3rdアルバム。EPもいくつか出ているようですが、過去作品は未聴。
インターネット(ブラックメタル)ラジオで結構流れていたので、彼らの存在自体は知ってて、本作はどうやらかなり高評価されてるっぽい雰囲気も伝わっていたのですが、スーパーいまさら、です。
なぜいまさら??な感満載ですが、ボスニアの英会話講師がオススメしてくれたので、話のネタ的な目的もかねて購入しました。そのあと「買ったよ~うえーい」とかなんとかやってたのは思い出です。
そのしばらく後、その講師が「そういえばMglaのTシャツ買ったよ、たぶんパチモンだけど」ってにっこにこの笑顔でジャケ絵のTシャツ見せてくれたりしてました。いや微笑ましい。
彼らについては少しインタビュー記事を探して読んでみました。もともと2人はKriegsmachineで活動する一方で、スタジオプロジェクト的なものでMglaが生まれた様ですが、現在では同郷のMedico Peste(まったく無知です今のところ)からライブメンバーを迎えてライブ活動も行っているようです。
また、”Due to typical life stuff happening”と彼らは表現していますが、そういう事情でKriegsmachineとしてはリハーサルやライブを行うことができなくなったために、現在はKriegsmachineがスタジオプロジェクトとして、Mglaがライブバンドとして、動いてるみたいです。
ちょうど役割が逆転した感じでしょうか。・・・インタビューの日付は2016年になっているので現在は少し事情が違うかも知れませんが。。あと読み違えてたらスミマセン。。
さて、彼らの音楽ですが、系統で言えば、北欧系オールドスクールブラックメタルを下敷きにしたブラックメタルと呼べそうです。M氏自身インタビューでは、90年代中頃のブラックメタルとの関連を示唆しています。実際の感触もプリミティブでありながら、薄めのメロディーが緩急つけて登場する、ある種ブラックメタルらしいもの、といってよいと思います。
個人的にはどことなくSatanic Warmasterあたりのフィンランド勢に通じる雰囲気を感じました。Northern Heritageからのリリースということもあり(?)Clandestine Blaze的な香りも漂ってる気もします。そのあたりの荒涼とした質感に加えて、東欧系のほの暗いミステリアスさが混ざってる印象です。
Kriegsmachineではリズムに、Mglaではハーモニーとメロディーにより焦点を当てている、というのがM氏の表現するところで、確かに印象として非常にエモーショナルなメロディがあちこちにちりばめられています。時にはアトモスフェリックブラックを思わせるようなパートもあり、じわじわと来るものがありますね。とはいえそれらは決して甘くなく、なんというか秘めたる炎がどこか深いところで燃えている、みたいな?
静かな単音メロディーの導入部から、だんだんと盛り上がっていきクライマックスでは劇的な疾走を聴かせる1曲目からして、ちょっと淡いけれどとても力強い、エモーショナルだけど甘くないメロディーとドラマティックさが炸裂してます。
続く2曲目はちょっと気だるいテンポとデプレッシヴっぽい単音リフに始まり、叙情アトモスフェリックなパートがため息にマッチする感じ。
3曲目は錯乱風な催眠リフ?っぽい感じに乗せて駆け抜けていくしていくのが印象的です。
4曲目はアルバム内のハイライトの1つかも、という盛り上がりを見せる、これまたドラマティックな曲。リフの感じがフィンランド系のバンドでこういうのあった気がしますが(思い出せない)、疾走パートのメロディーの荒涼とした終末感といったら!
そして、真っ黒な閉塞感漂う5曲目に続き、6曲目でエンディングを迎えるのですが、これまたメロディーと疾走感のコンビネーションが素晴らしい。なんというか胸をかきむしるような悲壮感と殺伐とした空気、とてもブラックメタルらしい冷たい熱さ。破滅の美?終末を迎えるけれど魂の火は決して消えることはなく・・・
やはりモノトーンな淡さが全体を覆っていて、一度聴いただけではあまり印象に残らない感じもあるかもしれませんが、じっくり向き合うときっとその良さを感じ取れるはず。
インタビュー記事によると彼らは曲と同じくらい歌詞にも重きを置いているようで、それらはまだ自分の望むレベルには達していないとしつつも、歌詞というよりは詩そのものして成り立つように試みているらしいですね。
歌詞の点で彼らをインスパイアしているのは、彼らの人生そのもので、内容は(ニヒリスティックな)彼らの感情を表しているんだそうです。サタニックなブラックメタルとは別ものと言えそうですね。さらに彼らは、コンセプトやテーマ、イデオロギーは一番に来るものではなく、ブラックメタルの根底にあるのは感情なのだと。
また、そういった彼らの音楽は彼ら自身の内側から生み出されるもので、他にアイデアの元があるということは全くないということのようです。
とするとMglaの音楽は完全に彼ら自身のありようを表現するもの、といえそうですね。
ブラックメタルの本物偽物議論ではないですが、ともすればブラックメタル自体がある種のエンターテインメントになりかねない中で(それはそれで一つの姿だと自分は思ってます)、Mglaの音楽はとてもパーソナルな内容をともなってるともいえるんでしょう。決して「演じてる」のではなく。
なんだか文章の大半を彼らのインタビューに語ってもらってしまった気もしますが、実際こうした彼らの立ち位置みたいなものを知れたのはとても興味深いことでした。少なくとも自分にとっては。
なにせ予備知識ほぼゼロだったもので。。
反宗教やサタン崇拝とは別の、ニヒリズムという内なる炎が静かに灯る作品。
自分自身、こういう視点の方がより的確にこの世界、現世?を表してると思うタイプです。。。
この世に生を受けて・・・って、決して素敵なものじゃないですよね、みたいな(苦笑)
こちらを参考にさせて頂きました↓↓
http://www.bardomethodology.com/news/2016/06/01/mgla-interview/
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