[Review]Dead Shell of Universe – Tamo gde pupoljak vene… tamo je moje seme (セルビア/ブラックメタル)

[Review]Dead Shell of Universe – Tamo gde pupoljak vene… tamo je moje seme (セルビア/ブラックメタル)

セルビアのパンチェヴォ(Pančevo)出身のブラックメタルDead Shell of Universeの1stで3曲入りEP。2008年作品で、現時点では彼らの唯一の作品。英国のEichenwald Industriesというところからリリースされていて、限定500枚のようです。

関連情報

彼らの出身であるパンチェヴォという街は、ドナウ川の北岸に位置していて、そのドナウ川のおよそ対岸には首都のベオグラードがあるという位置関係。ということで(?)Metal Archivesには彼らの活動の拠点はパンチェヴォ/ベオグラードという表記になっています。

中心人物はブラックメタルAll My SinsやTerrörhammerでも活躍しているV氏(ギター・ベース・ヴォーカル)。独りブラックというわけではないと思われますが、本作のレコーディングではセッションメンバーとして、The StoneやKozeljnik、May ResultのL.G.氏(ドラムス)と、Ponor氏なる人物が参加しています。

冒頭で触れたように、自分がゲットしたのはEichenwald Industries盤なのですが、どうやらつい最近の2019年に、リマスター&新曲1曲が追加されたバージョンが再発になる(なった?)らしいです。その新曲については未聴なので、ここではオリジナル盤の紹介という事で読んでいただければと思います。

アルバムタイトルは、頑張って訳してみようと調べたのですが、文法的に不明でした。静脈がどうの、私の種がどうの・・・という雰囲気っぽいのですが・・・そのうちセルビアの英会話講師に質問してみたいと思います。

追記・・・タイトルの翻訳を英会話講師にお願いできました↓

アルバムタイトルの”Tamo gde pupoljak vene… tamo je moje seme”は英訳すると、

The place where the bud is dying out… There is my seed

という風になるようです。死と生の移ろいのイメージでしょうか。個人的には輪廻転生のイメージが浮かびます。

ついでに1曲目のタイトル”sanjar”の意味も聞いてみると、こちらはdreamerの意味になって、a person with a vision, creative and imaginativeという事を表すんだそうです。

2曲目タイトルはアルバムタイトルの一部分と同じ”Tamo gde pupoljak vene…”なので、The place where the bud is dying out…つぼみの死にゆく場所、でいいのかな。

 

そういえば翻訳に協力してくれたセルビアの講師、今はそうでもないらしいですが昔Belphegorにハマッてた(!)、というナイスなお方で、メタル方面の話が早くて素晴らしい。その講師とは↓で話してます。

 

関連バンドThe StoneやMay Resultの記事も置いてます。ご参考に↓

[Review]The Stone – Golet (セルビア/ブラックメタル)

[Review]May Result – Tmina (セルビア/シンフォニック・ブラックメタル)

フレンチタッチの暗黒絵巻

彼らの音楽はたぶん、一言で表すならフランスのDeathspell Omega系。なんというか高次元の神秘主義者感満載のあの感じというか。カバーアートも「あの」名作アルバムを連想せません?

3曲入りEPと書きましたが構成を見ると、13分台の曲1曲と、12分台の曲が1曲、そして約9分のインストが1曲ということで、このあたりもEP攻勢が多かったDeathspell Omegaと重なる気がします。実際の関連性やバンドの意図というのは不明ですが。

 

静かなアルペジオがミステリアスな導入部を彩る1曲目。まもなく邪悪なトレモロリフとドスドス走るリズムで疾走パートに切り替わります。ギターリフにはうっすらとしたメロディ感が漂いますが、甘くないニヒリスティック系?のテイストです。

中音絶叫系のヴォーカルがそこに加わってきますが、同時にオカルティックなクリーンヴォイスも一部に入っていて、邪悪なだけでない神秘性も感じます。

曲の1/3を過ぎたあたりでスローパートに入り、聴く者をジワジワと締め上げてきます。このあたりのちょっと病的な単音リフのタメ感が、やっぱりエリートフランス勢っぽい気がします。このスローさはドゥーミーというよりは呪術的、でしょうか。

そうしためまいを起こさせるような単音リフの繰り返しのあとは、曲後半では再びドスドス爆走パートに切り替わり、狂気を撒き散らします。最後は淡いキーボードの音色をバックに、消え入りそうなアルペジオが繰り返され・・・あぁやっぱりDeathspell Omega?

 

あんまり連呼すると馬鹿の一つ覚えみたいになりそうでアレですが、2曲目冒頭のスローな入りと、ギターのじゃらーんって粒立ち感もまたDeathspell Omega風。そんな風にたっぷりタメた後のブラストビートの炸裂感は、予想通りだとしてもやっぱり格好良い。

ここでも薄気味悪いクリーンヴォーカルがちょっと遠いところから聴こえてきます。こうした演出が、狂気や邪悪さだけでなく、ダークなアーティスティックさをも醸し出してるんでしょうか。ドラムスの叩きぶりも手伝って、瞬間的に非常にカオティックに聴こえる点も破壊的で素敵。

曲後半は再びスローダウンして、妖しいギターリフが繰り返され、フェードアウト。両曲共にはっきりと起伏がつけられているので。曲の長さはあまり感じませんし、個人的には物足りなさも少なめと感じます。

そしてラストを飾る3曲目はダークアンビエントというか、暗黒ノイズ風(?)のインスト。これは黒い。大きく3部構成になっていて、前半部分は暗いメロディーに、不快感をかき立てる電子音が乗ります。そして中盤の、暗いながらもおそらく一番穏やかで神秘的なパートを挟み、最後は完全なる混沌。

ほとんどメロディーは消え失せ、真っ暗な中に奇妙な音が浮遊する悪夢のような世界。そして電子ノイズがジリジリ舞う中、突如闇を切り裂くシンバルの音が、スパーン。怖い>< なんというか、聴きながらそのトリップ感でちょっと、こういうのもありかな?なんて思い始めた頃に、そのシンバルの音が脳天を直撃して仰天する、みたいな。。。

時代を超える?完成度

つい今の基準で考えてしまいがちですが、本作がリリースされた2008年という時代を考えると、当時でこの音楽は案外凄いのかも知ません。

今でこそDeathspell Omega系とかポストブラック方面?はひとつのサブカテゴリとして確立されてるような気がしますが、当時は・・・どうでしょう。まだフォロワー勢の出始めの時期な気がしてて、その点で、彼らDead Shell of Universeがこの完成度のブラックメタルを世に問うたというのは、やっぱり凄いのかも知れない、と個人的には思うのです。

その真偽はともかく、リリースから10年以上経ってる(!)とは思えない見事な出来栄えで、目新しさはなくとも、今さらこれかよ、みたいな古さは感じません。

最初の方で触れた本作の再発盤をきっかけに、再び彼らの活動が本格化して、いつか新作がリリースされることを願いたくなる、そんなハイレベルな完成度を持つ作品といえるでしょう。まずは新曲をチェックしてみないといけませんね。

Amazon様↓


Dead Shell of Universe – Tamo Gde Pupoljak Vene

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