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[レビュー]Omega Lithium – Kinetik (クロアチア/フィーメイル・インダストリアル・ゴシック)

[レビュー]Omega Lithium – Kinetik (クロアチア/フィーメイル・インダストリアル・ゴシック)

クロアチアのフィーメイル・インダストリアル・ゴシックOmega Lithiumの2ndフルアルバム。2011年作品。Artoffact Recordsというところからのリリース。

関連情報

彼らのデビューアルバムである、”Dreams in Formaline”は本ブログで既に紹介していますが、ここではバンドの1stアルバムリリース後の足取りに注目してみましょう。

前作”Dreams in Formaline”のリリースに関連して、ZilloとSonic Seducerという、共にドイツの音楽雑誌でベスト新人賞を獲得したらしい。また、ドイツのフォークメタルSubway to Sallyのツアーに帯同したり、ということで、主にドイツを中心に注目を集め、精力的に活動していたようです。

そして2011年には待望の(?)2ndアルバムとなる本作”Kinetik”がリリース。ヨーロッパでのリリース元と思われるDrakkar Entertainmentのアーティストページによると、収録曲は40にも及ぶ中から選りすぐられたものらしいです。

バンドのラインナップは前作と同じく、Mya Mortensen女史(ヴォーカル)、Malice Rime氏(ギター・シンセサイザー)、Zoltan Harpax氏(ベース)、Torsten Nihill氏(ドラムス)という4人。

その後、本作のリリースと同年の2011年に、バンドは解散を発表。詳細情報は見当たりませんでしたが、解散後はMalice Rime氏Zoltan Harpax氏はそれぞれ、Marko Matijević SekulとZoltan Lečeiと名乗り、Manntraというインダストリアル・フォークメタルを始動することになります。一方でTorsten Nihill氏は同郷クロアチアのデスメタルMonoxに参加しています。

前作の記事は↓

[レビュー]Omega Lithium – Dreams in Formaline (クロアチア/フィーメイル・インダストリアル・ゴシック)

踏襲と新基軸と

本編の幕開けを飾る1曲目。スロヴェニアのコーラスによる、地を這うようなディープさのコーラスがバックでほんのり深みを聴かせる一品。インダストリアルらしく冷たく硬質な楽器隊の音作りと、淡々とした歌メロがいい具合に陰鬱でいい味出してます。

2曲目は個人的に本作中で一番印象的な曲。キャッチーでドライブ感満載、しかもダンサブルというダークなノリノリ感満載。加えて、オリエンタルというか中華風のデジタル加工声の浮遊感に、ドスドスと低音の効いた音域のコントラストも素敵です。

3曲目はひっそりと語りかけるようなヴォーカルと、重苦しい雰囲気がビターな一品。クロアチアのトラディショナルコーラスが隠し味に使われているようなのですが・・・パッと聴き気づきませんでした。。。よく聴くとなんだか後ろの方で歌声がするのですが、ほとんどサブリミナル的に認識できるかどうか、みたいな感触でしょうか。。。

暗い渦に沈んでいくような重苦しい感触の4曲目。冷たくドゥーミーで、後ろで鳴ってるシンセの音色も相まって、なんだか温度のない無機質感が漂います。

ここまではやや陰鬱な調子で曲が流れていきましたが、ようやく少し上向きの感触が訪れるタイトルトラックの5曲目。ユーロ・ロックならでは?とでも言うべき歌メロの流麗さ、なめらかさが光ります。決してドラマティックというわけでもないのですが、淡々としつつもシームレスで段付を感じない歌メロの流れが心地よいという。作中でも耳を引く曲のひとつといえそうです。

6曲目は、ちょっと跳ねるようなリズム感と、キラキラとメランコリック&ファンタジックなキーボードのタタタタン、みたいな音色が綺麗。オランダ方面(?)のフィーメイルゴシックあたりのにもどことなく通じそうなタッチな気もします。

Sopeleなる、クロアチアのトラディショナル楽器の音色が情熱的に響く8曲目。バグバイプとかそのへんの音に近いでしょうか。ギターのマシナリーなリフに、重厚なリズム、ここでは派手目に鳴り響いてるシンセとも相まって、ずいぶん炸裂感強めの一品の様に感じます。作中のいくつかの曲は、テイストとして結構気だるげなモノもあるのですが、一方のこちらはなんだか結構気合入って力強い。

9曲目はまた一風変わった雰囲気の曲で、マーチ風というか、ロックアンセム風というか、なんだか何かを高らかに宣言して見せるかのような気概と勢いをぶちまけてます。これまでの彼らのビターなインダストリアルメタルの印象とはずいぶん違ってビックリしそう。

本編ラスト10曲目は母国語歌詞も入る儚げなバラード調の一品。エンディングを飾るのに、ここでは物憂げな余韻を残して消えていくようなトーンです。ここまで、全体を覆うひんやりとした感触の音作りが特徴的でしたが、最後までそれは続き、ラストでも淡々としたまま。一方でほんのりとエモーショナルなところが前述の余韻のミソになってる、のかな。

それからボーナストラックの11曲目は、タイトルトラックのリミックス版なのですが・・・もはや完全に電子音&ヴォーカルというアレンジなので・・・興味なし。

終焉からの萌芽?

例えば音作りだったり、そこから醸し出す硬質感やひんやりとした空気感というのは前作と同様なのですが、加えてダンサブルな要素とか、耳を引く小ワザだったりといった新要素っぽいモノも散見される本作。

その点でいえば、前作の延長にありながら、新基軸も盛り込んだ作品という事にもなりそう。

一方で前作の記事で書いた気もする、時代を超えた賞味期限の長さを得るまでには至ってない感じもしますが、個人的にはインダス方面はあんまり得意ではない割に、聴いてて結構楽しめた作品。

さらに、いくつかの曲で聴ける、トラディショナル音楽の要素というのが、後にMalice Rime氏Zoltan Harpax氏によって始動する新バンドでインダストリアル・フォークのManntraへの伏線と思うと、興味深い要素も。

残念ながらOmega Lithiumとしてのキャリアはここで終焉を迎えますが、そのManntraへの萌芽をここで聴けると思うと、彼らの根底にあるビジョンは失われることなく続いていく、という事になるのでしょう。

 

なんだかもっともらしくうさん臭い事を書き連ねた気もしますが、収録曲は結構多彩、ダークでビターなインダストリアルでありながら、聴きやすさも損なっていない、素敵なバランス感覚の作品。

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