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[レビュー]Sacramental Blood / Heretical Guilt / Blasphererion – Triple Death Threat (セルビア/デスメタル・スプリット盤)

[レビュー]Sacramental Blood / Heretical Guilt / Blasphererion – Triple Death Threat (セルビア/デスメタル・スプリット盤)

今回ご紹介するのはセルビア産デスメタルの3Wayスプリット、その名も“Triple Death Threat”

北マケドニアのDarzamadicus Recordsから2013年にリリースされていて、セルビアやバルカンモノが主食の本ブログにとっては、1粒で3度美味しい逸品です。

収録バンドは全てセルビア出身のブルータル・デスメタルで、以前に本ブログで紹介している(ライブも観た!)Sacramental Blood、それからHeretical GuiltとBlasphererionという3バンド。

それぞれデモ作品としてリリースされていたものをカップリングしている構成で、入手難度を想像するとこのリリースは大変ありがたいはず。

以下でそれぞれ詳細を見て聴いてみましょう。

Sacramental Blood – The Second Death

まず最初は我らが(?)Sacramental Blood。内容は2011年のデモ”The Second Death”と同じです。

このデモから、現フロントマンのSrđan Todorović氏(ギター・ヴォーカル)が加入していて、現在のSacramental Bloodのスタイルはここで確立されたのではと推測されます。

収録曲は3曲で、1曲目はイントロで2曲目が彼らのオリジナル、3曲目はKreatorの”Storming with Menace”のカバーという内容です。

オリジナルの2曲目は、ドコドコうにょうにょ、ブラストビートも満載のSacramental Blood節で、後の1stフルアルバムで聴ける彼らのブルデスそのままな雰囲気。あまりに雰囲気が近いので「コレ1stに同じ曲入ってなかったっけ?」と確認してしまったほど。

実際は別の曲でしたが、既視感ならぬ既聴感満載。逆に言えばやはり、この頃から彼らのスタイルが出来上がってたという事になるのでしょう。

音質もかなりクリアで、改めて比べると1stのほうがより仕上がりが研ぎ澄まされてるのですが、単体で聴く限りはこれまた完全に彼らの音です。

 

そして3曲目のKreatorのカバーはというと・・・初めはカバーだと気付きませんでした(汗)。なんせKreatorは比較的最近聴きかじっただけなもので(大汗

アレンジは原曲に割と忠実だと思いますが、部分的にブラストビートを入れていたりして、完全にブルデス武装になってます。もう音が完全にSacramental Bloodなので、全然違和感が無くてお見事というかなんというか。

ただ、実質2曲入りでオリジナルは1曲のみという内容なので、ちょっと聴き足りなさを感じたのも事実。そのあたりは1stアルバムの音源で保管するのが良いでしょう。

 

↓彼らの1stアルバムの記事はこちらもご参考に

[レビュー]Sacramental Blood – Ternion Demonarchy (セルビア/ブルータル・デスメタル)

Heretical Guilt – Tears of Lamb

2番目の登場になるのが、セルビアの首都ベオグラード出身のブルデスHeretical Guilt。本ブログではここで初登場のバンドになります。

Metal Archivesによると、バンド結成は1997年のCorruptus名義時代にさかのぼるようです。2002年にHeretical Guiltの名で1stアルバム(未聴)をリリースしていて、本作に収録の音源はそれに続く2009年のデモ作品になります。

その時点でのレコーディングメンバーはDusan “Dule” Jevtic氏(ヴォーカル)、Oliver “Maki” Brajkov氏(ギター)、Milos “Visa” Visekruna氏(ベース)、Aco Aleksov氏(ドラムス)の4人。

メンバーに他のバンドとの関連はあまり見当たりませんでしたが、1stアルバムでドラムスを担当したMilan “Rigel” Kostić氏はシンフォメロデス・ブラックのDraconicに一時在籍してたり、フィーメイル・シンフォのMoondiveのアルバムでドラムスを叩いていますね。

 

 

さて、音の方はというと、個人的には完全にEric Rutan氏率いるHate Eternal風に聴こえます。ギターの音質のもこもこと歪んだ感じや、それに伴う魔界風(?)なリフの雰囲気と構成、ブラストビートの炸裂具合。。。そしてギターソロのちょっとこもったエコーが効いた様なトーンを聴いて確信。

狙ってやってるのかは不明ですが、実際非常に近いと思います。ブックレットの写真ではNileやSuffocationのTシャツを着てる彼らですが、それよりももっとHate Eternal。

収録曲は3曲で、どれも聴けば聴くほどHate Eternalに聴こえてしまうのですが・・・その分破壊力は申し分ないブルデスっぷりを発揮してます。その分このデモの後には音源が発表されていないのが残念。

単なる技巧派フォロワー?との問いについては、いやHate Eternal大好きなのでこういうのは大歓迎です、自分。

Blasphererion – Apocal Ur-Chaos

3-Wayスプリットの最後に登場するのがこのBlasphererion。なんと(?)このバンド、現Sacramental BloodのフロントマンのSrđan Todorović氏がSacramental Bloodに加入する前にやっていたバンドになります。

つまりスプリット盤でBlasphererionからSacramental Bloodへと至るSrđan氏の軌跡をたどれると言うわけですね。素晴しすぎます。

Blasphererionとしての活動は2008年からで、それまではBlizzardと名乗っていたらしいという事が、Metal Archivesに書かれていますね。Blasphererionとしての音源は残念ながらこのデモ1本のみのようで、現在は解散状態。。しかしながらこうしてスプリットとして収録されたことには非常に感謝すべき音源かもしれません。

レコーディングメンバーも見逃せません。Srđan Todorović氏がギター&ヴォーカルを務め、Marko Vujović氏なる人物がベースを担当。

そしてドラマーには、セルビアが誇るDissection型メロディックブラック・デスの、我らが(?)Baneの2ndアルバムで鬼気迫るブラストぷりを見せ付けたOccultum Malleus氏。もはや彼らBlasphererionの炸裂ぶりに期待せずにいられません。

 

3曲入りのデモになる本作は、おそらくSrđan氏の持つスタイルということになるんでしょうか、後のSacramental Bloodにも通じるところのある、スラッシーさも感じるファスト&ブルータルなデスメタル。

Sacramental Bloodの作品でもほのかに香っていた初期Morbid Angel風の趣が、こちらではより濃いような気もします。実際Sacramental Bloodのライブ観た時は、Srđan氏はMorbid Angelのノースリーブ着てたので、きっと影響を受けたバンドの1つなのでしょう。

1曲目冒頭からブラストビートで爆走。その後はファストな2ビートも交えながら突撃していきます。ギターリフはあくまでオールドスクール風の延長上にあって・・・“Altars of Madness”の頃のMorbid Angelを現代の切れ味に仕立てたというか・・・です。

一方で曲後半に登場する吹雪くようなトレモロリフが、Occultum Malleus氏の鬼ブラストぶりもあって、Baneあたりのブラックメタルの様に聴こえる瞬間も。

続く2曲目もまさにMorbid Angelのあのアツさとスリルが満載。ギターソロの狂ったアーミングやフレーズもそれっぽくて思わず頬が緩みます。

3曲目の冒頭のリフはCannibal Corpseの名曲”Staring Through the Eyes of the Dead”にそっくりで良くも悪くもちょっと驚きますが、その後はやっぱりドカドカバシバシ爆走。後半にはちょっとタメと余韻を残す様なトーンのリフも配置して雰囲気を出し、トドメにブラストをぶち込んで終了。

セルビア産強烈ブルデス3点盛り

ということで、セルビアのブルデス3バンドによる、有難すぎるスプリット盤。特にSacramental Blood関連あるいはSrđan Todorović氏関連音源としての意義というのはかなり大きいはず。

残念ながら3バンド共、オリジナリティにはやや(?)欠けるという点は否定できないのが正直な印象なのですが・・・仕上がりは3バンドとも良いので、個人的には大満足。

 

セルビア産あるいはその周辺のバンド、コンスタントに複数の作品をリリースされてることが少なくて、そのあたりがもしかすると、オリジナリティの薄さの一因かもという気がしてます。

例えば、完全なフォロワーといった出発点だったとしても、作を重ねるごとに独自のテイストが現れてくるとして・・・セルビアあたりのバンドにはその「継続」の困難さがあるようで、それが音楽の深化を阻害してるというか。そんな気がするのです。

話はそれましたが、本スプリットに収録されてるデモ作品の出来が良いだけに、今後の活躍を祈り、期待したい、そんなバンドの皆様です。

そしてどれも自分が大好物な暴力性満載。しかもHate EternalだったりMorbid Angeだったりという、まさに好みのスタイルなので、余計な事を考えずとも、美味しく頂けた見事な3点盛りでした。

 

セルビアでSacramental Bloodを観た話は↓記事で紹介しています。ご参考に

[ 聖地巡礼??]セルビア&ボスニアひとり旅~ノヴィ・サド編part1[メタルツアーも]

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