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[レビュー]Morgreim – XXII(ポーランド/ブラックメタル)

[レビュー]Morgreim –  XXII(ポーランド/ブラックメタル)

ポーランド出身のブラック/アトモスフェリックメタルMorgreimの2ndフルアルバム。1stアルバムと同年リリースで2022年作品。Bandcampでリリースされてるデジタル版で、今のところフィジカルのリリースはない模様。

関連情報というか前置き

アルバム情報どころか、バンド/プロジェクト自体についてもほとんど情報がないのは前作同様。

前作”Forgotten Tales”の紹介でも触れていますが、Morgreimの仕掛人はAndrei Mishynなる人物だとか、ヴォーカル含め全てはデジタル製作の音源ぽい云々、らしいのですが、確定情報もないという謎っぷり。いわゆる一人ブラック的な認識でいいんじゃないかとは思うのですが、事実が何にも存在しなくて、あるのはこの音楽のみという。能書きはいいから黙って聴け、ってことになるのかな。

ということで、関連情報も何も書くことがろくにないこのMorgreimですが、個人的な嗜好のツボにはまりまくった前作”Forgotten Tales”に続き、本作”XXII”も恐るべき強力さで筆者の胸をえぐりまくる壮絶に好きすぎ作品になるのでした。

以下でその本編を聴いてみましょう。もはやいくら言葉並べても陳腐にしかならない程に、実際の音楽はツボすぎて、書いてて自分の表現力が情けなくなるのですが。。

前作のお話はこちら↓もあわせてどうぞ。

[レビュー]Morgreim – Forgotten Tales(ポーランド/ブラックメタル)

甘美なる破滅の足音

全体的に、音作りは前作と同系統というか延長線上といった感じで、シンセの美しい透明感あふれる装飾と、垢抜けない舌っ足らずの女性クリーンヴォーカルはそのままに、楽曲構成をかなりブラックメタルに寄せてきました。総じてアトモスフェリック系のブラックメタルのフォーマットに近いと思います。

要所で炸裂しまくる激速のブラストビート、時折切り込む”ギイヤアアァァッァーー”な男性声の絶叫は、ブラックメタル聴いてるって証てなもんです。

そのおかげで、前作はずいぶんファンタジックで夢見るような感触の甘美な作風でしたが、本作では一転して、壮絶な終末感が香る雰囲気に。前述のようにシンセの装飾が前作同様かなりきらびやかなので、美しき破滅の音色といったタッチになるでしょうか。

また、全5曲の楽曲はすべて5分長と、前作比で大作主義寄りになっているのも本作の特徴といえそうです。

 

アルバム冒頭を飾るのは、壮絶ブラスト全開で幕を開ける1曲目”Eurus”。刺々しくもほんのりメロウなトレモロリフはちょっと人工的な響きの音色ですが、メロディーが良いのでそんなに気にならない?です筆者は。そしてちょっと遠くで響く男性の絶叫がブラックメタルならではの悲哀というか苦悶というか。。メインパートはテンポを落として、前作から完全にほれ込んでる女性ヴォーカルのふわりとした歌唱に耳を奪われます。なんだか無表情なのに表情豊かみたいな不思議感。そして再びトレモロリフとブラストビートがエモーショナルに駆け抜け・・・いきなり必殺級の楽曲にいきなり悶絶します。

アコギの物悲しい音色で幕を開ける2曲目“Fadeless”。ここでもエモーショナルなメロディのトレモロリフが泣かせます。そして絶叫と共に爆速ブラストビートになだれ込む様がブラックメタルの恍惚。女性シンガーの歌声はなんだかちょっと一生懸命にも聴こえて、これまでは割と淡々と歌ってたのにここではその歌声にも少し熱がこもる様にも感じられます。後半では再びアコギのブレイクを挟んで、狂おしいギターソロ風(?)のメロディーの乱舞。「風」と書いたのはやっぱり音色が人工的なのでギターのつもりなのかシンセなのかが不明だからなのですが・・・曲やメロディーや雰囲気が素敵すぎるのでそんなことはもはやどうでもよくなってきます。今聴いてる音が胸に刺さりまくってる事実が一番大事。

なんだか壮大なイントロがズドンと鳴り響く3曲目“Polaris”。ここでは比較的スローなテンポで雄大なランドスケープを描いていくようなイメージでしょうか。語り掛けるようなヴォーカルのいい意味での棒読みっぷりがいい味出してるのは前作同様。

そして本作で一番のお気に入り、超必殺の4曲目“Envoy”。フォーキッシュなメロディのトレモロリフと、ペイガン風の勇壮さで鳴り響くブラストビートの組み合わせに胸が熱くなるうえ、ほんのり鳴ってるシンセによる空間づくりに吸い込まれそう。ヴォーカルはアの音とかオの音の発声がなんだか間抜けというか頭悪そうですらあるのに、それが恐るべき可愛らしさで迫りくるという。。。歌ってる姿を全力で愛でてあげたくなる味わい深さ。褒めてますもちろん。ペイガン風の土臭さの香る勇壮なブラックメタルという事で、こういうのに超弱いです自分。

ラスト5曲目“Penance”はここまで何やら滅びの匂いのする雰囲気の楽曲が続いた中から一転、柔らかなハープの音色がちょっと平和っぽい質感。ミドルテンポで跳ねるようなドラムスのリズムとグルーヴ感と、ヒロイックなメロディーはどこか未知なる明日に向けて決意を新たにするかのような・・・。曲中ではここで唯一、男性のよるささやき声が入ってますが、これは仕掛け人氏によるものなのでしょうか??そんなささやき声に応えるように、女性ヴォーカルも伸びやかな歌声を聴かせ、本作は終焉に向かいます。

救いと啓示のアトモスフィア

前作”Forgotten Tales”は近年まれにみる破壊力で筆者の心を射抜いて、消えかけてた音楽に対する情熱を再燃させる救いと啓示の一品でしたが・・・本作”XXII”はまた違ったベクトルで筆者の魂を揺さぶりまくった作品でした。

前作のフォーク&ファンタジックな甘美さと対照的に、本作では破滅の足音を聴くような壮絶なブラックメタルの陶酔感。アトモスフェリック系のブラックメタルが好みの皆さんにはきっと受け入れられるんじゃないかと思われます。

個人的な話ですが、最近の筆者、精神的に生きてて一体どこで何を成してるのか見失ってふらふらしてばっかりだったのですが、本作(と前作)を聴くのを通して「あぁ自分の存在してる場所ってここなんだな」って再認識させられました。

例えがなんかアレなんですが、本当に単に聴いて好き!とかカッコいい!とかだけでなく、心と魂に突き刺さり、目を見開かせるような、メタルに生きるって事を思い出させるアルバムなのです。おかげでこのブログに戻ってきて、こうしてレビュー書く事までできるようになったのですから。

 

Morgreim公式Bandcamp↓

https://morgreim.bandcamp.com/album/xxii

Amazon様リンク↓


Morgreim – XXII
 

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