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[レビュー]Enthrallment – Immerse into Bloody Bliss(ブルガリア/ブルータル・デス・グラインド)

[レビュー]Enthrallment – Immerse into Bloody Bliss(ブルガリア/ブルータル・デス・グラインド)

ブルガリアのベテランブルデス/グラインドEnthrallmentの2ndフルアルバム。2008年作品。スロバキアのMetal Age Productionsからのリリース。

関連情報

バンドの結成は1998年にさかのぼるという事で、結構なキャリアを誇る彼らEnthrallment。

Metal Archivesによると、2ndアルバムである本作”Immerse into Bloody Bliss”までには、デモ、EP、スプリット盤をそれぞれ1作品と、フルアルバムが1作リリースされています。

キャリア初期から、ライブも積極的に行っていたようで、始めは地元ブルガリア国内でのライブが中心だったものの、2004年ごろには隣国セルビアでのライブも行い、徐々にその活動を広げています。

2006年に1stアルバム”Smashed Brain Collection”をリリースした後は、Obituary, Sinister, Napalm Death, Destruction, Mystic Circleといったバンドとステージを共にするようになります。

翌2007年にはルーマニア、オーストリア、フランス、スペイン、ポルトガルを回るツアーを行い(たぶん Malevolent Creation, Rotting Christ、Rotten Soundとの共同ツアーっぽい)、その後すぐに2ndアルバムである本作”Immerse into Bloody Bliss”の制作を開始。翌年2008年にリリースとなりました。

結成時からいくつかのメンバーチェンジがあったようですが、本作のラインナップは、唯一のオリジナルメンバーであるIvo Ivanov氏(ドラムス)、Vasil Furnigov氏(ギター・ベース)、Plam Bakardjiev氏(ヴォーカル)、Chris Hristov氏(ギター)という4人。

インタビュー中では影響を受けたバンドとしてDeicide, Suffocation, Vader, Slayer, Cannibal Corpse, Immolationを挙げる彼らEnthrallment。主に80-90年代からのバンドがインスピレーションの中心のようですが、その音像は果たして。。。

爽快なゲテモノ系のコントラスト

全体的には、↑で挙げられた影響元のバンドからうかがえるように、オールドスクール・デスの感触や質感をベースに、グラインドあるいはブルデス化させてるような、なんとも素敵な塩梅の作風。

現代の(?)ウルトラハイテク非人間超人デスというよりは、古き良きドロみとオールドスクール感に、ブルデスらしいブラスト&スラミングパートを満載にした、ある種の爽快感さえ感じるスタイルで、個人的には聴いてて結構笑みがこぼれそうな路線です。

 

ヴェヴェ、ぉえぉえぉえ、と挨拶代わりの発声のあとは、粘っこい高速重低音リフで幕を開ける1曲目。カラコロと響くスネアドラムのロールが非常に軽やかで、湿り気たっぷりのデス・グラインドリフと対照的なコントラスト。炸裂するブラストビートもバシバシ決まって、リズムのスピード感と、ギターリフの重いうねりに思わず頬が緩みます。

このあたりがたぶん本作の音作りの良いところで、こってり凶悪なギター&ベースサウンドに、すっきりと爽やかささえ感じそうな抜け感のドラムスの軽快感が印象的。血みどろでありながらしつこすぎない絶妙な味付けです。。。

ヴォーカルは水っぽい低音グロウルから、ゲボゲボ系下水道ヴォイス、悪魔の赤子みたいなハイピッチの喚きまで多彩で、多彩なゲテモノ感。

4曲目はロングトーンのギターリフ&高速2ビートで緊迫感たっぷりに入ります。なんだろう、拷問台に縛られて、回転ノコギリが迫ってくるシーンに「イタイイタイ」って恐怖するゾクゾク感、みたいな?要所要所で、下水道ヴォイスが、”ゔぃーゔぃーゔぃーゔぃー”って豚みたいにブヒってるのが、スプラッター感満載な音像の中にあって、どことなくコミカルに響いてる気もします。

そんな風に、前述したヴォーカルの表情の切り替え方とか、リズミカル時にはダンサブル(?)な変拍子の使い方がたぶん結構効果的で、暴力的なだけでなく、耳を引くキャッチーさと、シリアスになりすぎないコミカルさが同居してるのがお見事。

そんな血しぶきと狂気の暴力性、表現力豊かなヴォーカルのキャッチーさとちょっとしたコミカルさの完璧な融合を見せるのが7曲目。曲冒頭の”Cane The Messiah With The Crooooooook!!!”を叫ぶ湿っぽい低音グロウルと、悪魔の毒毒おばあちゃんならぬ、毒毒赤ちゃんのオギャりによるハーモニーですよ。。。立て続けにブラストビートの嵐はまさに癇癪起こして家政婦さんを八つ裂きにするスプラッターベイビーによる地獄絵図。一方でスラミングパートの変拍子がとっても軽やかで、地獄の踊りを踊ってしまいそう?な名曲。

3つ星ブルデス巧者

・・・少々おいたが過ぎた気もしますが、実際聴いててアツい攻撃性と爽快感が見事なコントラストで同居する、奇跡みたいな(?)バランス感を放ってる気がするブルデス作品。

たぶんひたすらグチャグチャに悪趣味をぶちまける凶悪盤って沢山世に出てると思われますが、聴いてストレートに楽しめる、それでいて物足りなさも感じないというのは珍しい気がするのです。

ブラストビートとスラミングパートのコントラストもたっぷり。ヴォーカルの振り幅もたっぷり。血みどろの凶悪なキラー感もたっぷり。おまけにちょっぴりコミカルなスパイスを少々。。。とまるで3つ星ブルデス・グラインドみたいな様な1枚で脱帽。センスの良さが光りまくる一品です。

ブルデス方面ファンの方はぜひご賞味を。

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Enthrallment – Immerse Into Bloody Bliss
 

 

参考にしたインタビュー記事↓

INTERVIEW: ENTHRALLMENT

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